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『問題解決』に資料作成が必須である理由(後編)

外資系戦略コンサルティングファームで数々のプロジェクトにおいて資料作成のスキルに磨きをかけてきた弊社代表松上純一郎に、『問題解決』に資料作成が必須である理由についてインタビューいたしました。その内容をご紹介いたします。

前編はこちら



– 問題解決に資料が役立った場面を教えてください?

ヒアリングしたことをしっかりと構造化した資料にしてお見せすると、お客さんが腑に落ちるケースが多いです。

一例を紹介すると、クライアントである設備機器メーカーさんが、顧客に対してもっと自社商品を売りたいのだがどういうニーズがあるのかヒアリングしてほしい。という依頼をいただいたことがありました。

クライアント自身は先方に新しいことを提案していかなければならないと思っていました。しかし、ヒアリングを行うと、「新規提案ではななく自社製品の試作品やフィールドテストをスピーディーにやってほしい。」という回答でした。そのことをそのまま伝えても伝わりますが、ヒアリング先の会社さんのおかれている状況、背景状況を組合わせて議事録の内容を整理してパワーポイント資料に落として伝えるとクライアントの腹落ち度が全く違います。

また、それを図解化した資料にすることで認識のずれが少なくなります。単に議事録の状態でみせると、人はそれぞれの見方があるので自分がみたいものをだけを見てしまいます。何が大事でどういう背景があるのかいうところまでを資料として構造化することで、皆が同じ方向を向き、同じ認識に立って課題に取り組めるようになります。


それ以外のケースでいうと、これば資料というよりはホワイトボードに書いてあげる場合ですが、クライアントの各部署のメンバーが議論する場面です。皆それぞれの立場から話をするのでお互いのことをよく理解していません。とはいえ同じ社内のことですので、話の内容をホワイトボードに図解化してあげるとお互いの理解につながります。自分達がみていたものはパーツでしかないと気づかされます。そのパーツとパーツをどのようにするとつながるか図で整理して見せてあげることで理解が深まります。このような場面はよくあります。言っていることを資料(図解)にするだけですが、クライアントはとても納得してくださいます。

コンサルタントのいいところは良くも悪くも会社をマクロの視点で見るので、それぞれの方が言っていることを俯瞰してみることができます。この人はこの部署だから、この立場だからこのように言っているんだな、言っている内容の抽象度(レベル感)が細かい話をしてるな、大きい話をしているなと考えることができます。また、コンサルタントは資料作りを通して具体から抽象をつなげる訓練をしているので、クライアントから色んな発言があった際にも、それぞれをつなぎ合わせることができます。当然それを表現する訓練もしているのでクライアントに資料として提示しやすくなります。

コンサルタントでなくても何かチームとして課題に取り組まなければならない時に、この部署にとってはどういう意味を持つのか、会社にとってはどういう意味を持つのかということを資料にまとめていくと、俯瞰する力や表現する力も身に付いていきます。ただそれを資料化せずに、口頭でディスカッションするだけとなると、なかなか俯瞰力や物事を結びつける力はすぐには身につかないでしょう。

 

– どのようにすれば問題解決に資料作成を活かせるようになりますか?

自分が考えていることを一旦アウトプットしてみるということが資料作成の原点のような気がしています。自分がメインで話す必要はないが出席しなければならない会議などで、事前準備として何か1枚自分の考えをアウトプットした資料を持っていく癖をつけると資料作成力が身につくと思います。自分の考えを書き出すことができるようになったら、人が言っていることをまとめたりしていくうちに、問題を資料に落とせるようになっていけます。WordやExcle、手書きでもいいので、とにかくアウトプットすることを癖づけることが、資料を問題解決に使えるようになる本当の第一歩だと思います。

資料作成というのは、自分の中に内在していることを外在化することです。それをたまたま言葉というメディアを通して紙に表しているだけなんです。それにどれだけ慣れるかということがとても大事になります。外在化させることによって問題を客観的に見ることができます。自分の考えを客観的に見ることができると、考え方の甘さや、視点の違いなど気づかされることがたくさんあります。

アウトプットする行動を会議の中で行ってしまうと、その場勝負で終わってしまい意味を成しません。そうならないためにも、事前に自分なりにまとめておき、会議の場でその資料を検証することが大事になります。自分自身で検証してみることが問題解決の始まりだと思います。

そこからもう一歩進めるのであれば、誰かの言っていることの議事を取ってみることから始めてみてください。しかし、ただ単に議事を取るのではなく、その人の言っていることの要点を3つに絞ってまとめてみるなど、このようなことをすると資料をまとめる力、本質を見抜く力がつくと思います。