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部下育成に悩むマネージャーのコーチング事例

≪目次≫
1. はじめに
2. 成長支援のヒントが得られた事例
3. 部下への伝え方のヒントが得られた事例
4. まとめ

本記事の執筆者
小泉 暁子Akiko Koizumi
  • 国国家資格キャリアコンサルタント
  • Points of You®認定トレーナー(旧資格)
  • チームフロープロコーチ養成スクール卒業

1. はじめに

部下育成は、マネージャーの重要な役割のひとつですが、経歴や持っているスキル、得意/不得意や個性も異なる多様な部下の育成に難しさを感じている方も多く、コーチングでもよくご相談いただきます。

今回は、部下育成をテーマで実施したコーチングから「視点が変わった」事例2つをご紹介したいと思います。

(※守秘義務の観点から、お名前や内容は変更している部分があります。)

2. 成長支援のヒントが得られた事例

半年ほど前にマネージャーに抜擢された川口さんの事例です。
伸び悩んでいる部下Aさんの育成に悩んでいました。

川口さんによるとAさんの担当しているプロジェクトがうまく進んでいない中で
「言動から向上心や成長意欲が見られない」
「課題を指摘しても改善が見られない」
「同じことを何度も言っているが全く伝わっていない」
とのこと。川口さんは、部下のフォローに十分に時間が割けない中でどのように接すればよいのか分からない状況でした。

そこで、川口さんに次のような質問をしていきました。
・具体的に何が起きているのか?
・どんなことに一番困っているのか?
・Aさんにはどんなことを期待しているのか?
・今の状況がどうなったらよさそうか?

じっくり話を聴いていくと、川口さんの中でAさんに何を改善してほしいと思っているのか?何故そう思っているのか?というポイントが明確になってきました。

Aさんに改善してほしいのは、川口さんにとって出来て当たり前の基本的な業務のひとつであること。その為、指摘してもできないAさんの意識・意欲の改善を求めてきたと川口さんは話します。ところが、ここでひとつ気付きました。

“もしかしたら、Aさんは、そもそもその業務のやり方について知らなくて困っているのかもしれない。必要なのは具体的なアドバイスであり、スキル習得までのサポートが必要でありそう”

ということです。これまでのAさんの言動を振り返ると思い当たる節もあり、
指摘するだけのアプローチ方法を見直し
・改善ポイントの指摘だけでなく、具体的な方法のアドバイスや学び方も合わせて提供
・いつまでに何が出来るようになってほしいか?具体的なステップと目標・期限を一緒に決める

の2つを実践していくことにしました。

1カ月間継続してみたところ、Aさんに劇的な変化はないものの、Aさんから川口さんに積極的に質問や相談が来るようになり、少しずつ成長しているように感じられるようになったということです。自分の関わり方が変わったことで起きた変化に手ごたえを感じていらっしゃいました。

コーチとのセッションの中で起きている事象を詳らかにしていく過程で、部下に起きていることを想像することができ、部下の視点で必要な成長支援のヒントが見えてきたという事例です。

3. 部下への伝え方のヒントが得られた事例

2つ目の事例は経験豊富な中堅のマネージャー大﨑さんの事例です。
優秀ではあるものの、態度に問題のある部下Bさんに頭を悩ませていました。

「正論なんだけれど、歯に衣着せぬ言い方で若手メンバーが委縮」
「自分は批判されると露骨に嫌な顔をするが、逆に指摘されると不機嫌になる」
など、Bさんの態度はチーム運営にも影響がでている様子でした。これまでも何度か注意したものの、改善されることはなく、対応に苦慮していました。

大﨑さんからBさんのお話をひととおり伺った中で、
「そうなんですね、Bさんは優秀でいらっしゃるけれども、歯に衣着せぬ言い方で若手メンバーが委縮しまうのですね。そして自分は批判されると露骨に嫌な顔をするけれども、逆に指摘されると不機嫌になるといった一面もお持ちなのですね…」
と伝え返したところ、

大﨑さんは
「でも、いいところも沢山あるんです。彼は仕事に対する姿勢、プロ意識がものすごく高くて、この現場で長く活躍したいという気持ちも強く、人一倍頑張っているんですよ。態度は微妙でも必ずやり遂げられる力を持っているので、大きなプロジェクトも任せられる信頼できる人ではあるんです。」
とBさんのよいところも評価しているとお話されます。

話ながら大﨑さんは、Bさんに対して評価できるところが沢山あること、この現場で長く活躍したいという想いに繋げて、ポジティブな形で改善の必要性を伝えると前向きに取り組んでもらえそうなことに気づかれました。

改めてご自身の言葉をコーチ経由で聞いたことで、部下のよい面もあることに気づき、どのように伝えたら部下に伝わるのかヒントが得られた事例です。

4. まとめ

いかがでしたでしょうか。
以上、2つの部下育成をテーマにしたコーチングセッション事例を紹介しました。いずれも、部下についてコーチと対話しながら、じっくり考えることで、視点が変わり、必要な支援やアプローチが見えてきた事例です。

コーチングセッションで何がどんなことをするのか?何が得られるのか?ひとつの参考にしていただければ幸いです。

 

【本記事の執筆者】
小泉 暁子

ソニー(株)に21年間勤務。商品開発や事業企画に携わった後、人事部で人材育成、女性活躍支援などに従事。その後、組織開発系ベンチャー企業において契約企業の社員の外部メンターとして活動。

現在はキャリアコーチ、キャリアコンサルタントとして活動。企業研修や個人向けワークショップなども行っている。

ビジネスマンのサポート経験が豊富。また、子育てと仕事の両立経験からのアドバイスができることも強み。

・国家資格キャリアコンサルタント

・Points of You®認定トレーナー(旧資格)

・チームフロープロコーチ養成スクール卒業