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『問題解決』に資料作成が必須である理由(前編)

外資系戦略コンサルティングファームで数々のプロジェクトにおいて資料作成のスキルに磨きをかけてきた弊社代表松上純一郎に、『問題解決』に資料作成が必須である理由についてインタビューいたしました。その内容をご紹介いたします。



– なぜコンサルタントは資料作成スキルが高いのでしょうか?

コンサルタントの資料作成スキルが高い理由は、2つあります。

1つは、コンサルタントの仕事はクライアントへ的確なアドバイスをしたりアイデアを出すことだからです。そのために、資料でわかりやすく整理し、それを見える化する訓練をしているです。資料を説明する場にいなくても、資料を見ただけで従業員の方が深く理解できる資料作りにコンサルタントは日々取り組んでいます。


コンサルタントは問題解決、課題解決を扱う仕事です。具体的なステップはお医者さんが患者さんを診察し薬を処方するプロセスとよく似ています。まずは問診、次に実際に脈や血圧を測ったりし、それらの情報で何が原因か診断し、必要に応じて検査を行い、原因を特定して治療していきます。コンサルタントの仕事も同じで、まずはクライアントにヒアリングを行い、現状分析、課題特定をします。課題が特定されたら解決策を選んで、最終的に実行してもらう。とてもシンプルな流れです。ただし、ここで大事なことは、最終的にはクライアントに解決策を実行してもらわなければならないということです。そのためにもコンサルタントは具体的なデータを提示する必要があります。

現状分析の場合は、ヒアリング結果をそのままお伝えするのではなく、「具体的にこのようなお話が従業員から出ているのでこういうところに課題があるのではないか」「データを分析したところ、商品Aは価格が下がってきていて利益率がこのくらい悪くなってきます」など細かく示します。このように現状を具体的に分析し、認識があっているかを確認したうえで解決策を考えていきます。

解決策にしても、課題だけをお伝えしてもクライアントに理解して頂けません。「ABCという3つの解決方法がありますが、特にインパクトがあり実行力のあるAを提案します」このように考えるプロセスを提示することによって、クライアントに納得して実行していただくことが重要です。

最後に、実行に関しても具体的に「こういう順番でこのようにアクションをします」というプロセスを資料にまとめておきます。口頭で説明してもその場にいる人には伝わりますが、会社の従業員が具体的に取り組むためには、資料でわかりやすく整理して伝えなければなりません。資料が一人歩きして、内容が正しく理解できるものを作ることが重要です。

2つ目は、問題解決を行う際、コンサルタントはチームで動くので、チーム内で情報を共有するためにも、資料を作らなければならないからです。チームで課題に取り組む以上、皆が同じ情報を得て同じ認識をして進めていくことが重要です。ですので、問題解決を行うチーム自体もそれぞれの情報を資料化して他の人に共有していかなければなりません。

問題解決のプロセス自体が資料作成と密接に紐づいているので、コンサルタントは必然的に資料作成スキルが高まっていくのです。

 

– コンサルタントは具体的にどのような場面で資料作成を活用しているのですか?

問題解決の各フェーズで様々な資料作成を行っています。

資料作成というと、最終的に提出する提案資料をイメージしがちですが、それだけではありません。提案資料というのは分析のプロセスを既に終えており、最終的な情報を共有するものです。そこに至るまでの課題、問題解決のプロセス、それぞれに必要な資料があります。そこができていないと最終的な提案資料はいいものができあがりません。

たとえば、現状分析ステージにおいてヒアリングはとても重要な作業です。ヒアリングと聞くと、いくつかの質問事項を用意して課題を聞き、それをまとめるという作業が一般的です。質問票もそこまで練り込んで作り上げていないと思います。

しかし、「現状分析」を行う上で、質問票の設計が非常に重要なのです。仮説ベースで質問を作り、大事なことがモレていないように質問票を大変精緻に作ります。そして、質問が構造化された形でヒアリングを行っていきます。この作業も質問票(資料)がしっかりで作られていないとできないことですので、とても重要な部分です。

ヒアリングであがったコメントを単に議事録としてWordで打つだけで終わらせずに、そこから「どこに問題があるのか」「ここを改善しなければならない」という示唆を出すことが次に重要な作業になります。そういう時に、議事録からのコメントを抜き出したりして資料にまとめていくことが有効です。それは資料がないとなかなか伝わらないことですし、整理しきれません。

このように、コンサルタントは問題解決の各フェーズでいろんな種類の資料を活用して仕事を進めています。

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