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相手のために話すことでうまくいく~大学での話し方講座から~

ルバート代表の松上です。先日、津田塾大学でプレゼンテーションや話すことが苦手な学生向けの「人に伝わる話し方講座」に登壇しました。その時の内容が学生だけでなく、一般の社会人にも役に立つ内容と思いましたのでご紹介したいと思います。

大学での実施の背景

もともとこの講座を実施することになったきっかけは、「学生達の中に話し方に自信がなく、緊張してしまい、本来の実力を発揮できない子がいる」と津田塾大学から相談を受けたことでした。学生達は授業やサークルや就活でプレゼンテーションや話をする場面が多くありますが、そういった場面でうまく話せず自信を失うケースがよくあるようです。

その課題に対して一斉型の授業で話し方のセミナーをやると個別の話し方の課題にアプローチできないので、個々人の話し方にフィードバックできないかという依頼でした。ルバートは社会人向けに個別にフィードバックするプログラムも提供しているので、学生向けにもチャレンジすることにしました。

学生達の悩み

今回も事前にアンケートを行い、受講生がどのような悩みを持っているかについて聞きました。

“プレゼンテーションをしたりする機会が多くありますが、過度に緊張してしまい自分の考えていることを十分に言語化できず、もどかしい思いを何度もしています。”(2年生)

“授業でプレゼンテーションをした際に、緊張で早口になってしまったためその発表の中で強調したいポイントを相手に伝えて切れていないと感じて悔しい思いをしました”(2年生)

“人前で話す勇気がなく、授業中にグループで話した内容を発表するときに他の人にお願いする機会が多く、その度に無力感を感じる。”(1年生)

“アルバイトが飲食業で、お客様から商品の味について質問されることが多々あるが、質問されたことに慌ててしまい言葉に詰まることがある。また答えられたとしても色々なことを言いすぎてしまい、簡潔に商品の良さを伝えられない。上手く伝えられず、商品を説明している途中に「もういいです。」とお客様に言われてしまったことがあり悔しかった。”(1年生)

いずれの回答も、本当に伝えたいことがあってもうまく伝わらない悩みに溢れていました。

プレゼンでの主人公は自分ではない

今回の講座の中では、声の出し方、姿勢の作り方、ジェスチャーの仕方、伝える内容の考え方、伝え方など、身体の使い方から内容面まで多くの視点から紹介して、学生達に何か自分が使えるものを見つけてもらおうと意識しました。

その中でも特に反響が大きかったのが、「プレゼンでの主人公は自分ではなく、聞き手である」という話でした。最初に「プレゼンの主人公は伝え手か聞き手かどちらでしょう」という質問をしたところ、学生の半数以上が伝え手と答えていたので、学生にとっては想定外の結果だったのでしょう。

 


 

プレゼンテーションでは聞き手に理解してもらったり、行動してもらわなければ意味がないので、聞き手を主人公として捉えて説明することが重要です。また、聞き手を主人公とすることで、聞き手にとっての価値を提供でき、聞き手の知識や情報レベルを考慮でき、そして聞き手のペースで伝えることができ、結果的に聞き手に動いてもらうことが可能になります。

 


 

また、この聞き手を中心に据えることは緊張をほぐすという結果にもつながります。脳科学の研究では自身にフォーカスを当てることは緊張を増幅することになることがわかっています。一方で相手にフォーカスすると、不安や緊張を抑制できる効果があるようです。つまり、「相手のために話すこと」はプレゼンを成功させる効果だけでなく、プレゼンの緊張を抑制する効果まであるということなのです。

 


 

まとめ

講座の後のアンケートでは以下のような内容をいただきました。

マインドセットによって、話し方が変わることを実感することができました。また、緊張をほぐす方法を実践して、抱えていた不安を払拭する事ができてよかったです。”(2年生)

聞き手が主役ということがわかってから発表する時の緊張を少し落ち着かせることができるようになりました。”(2年生)

“プレゼンの主役は聞き手だと言うことが印象に残った。聞き手は話し手が思うほど失敗を気にしていないことを知ることができたので、今後はどうしたら失敗しないかではなくどうしたら聞き手を話に引き込めるかを目的にしたいと思った。”(1年生)

多くの学生が「相手のために話すこと」で伝える内容が変わったり、自身の緊張がほぐれることを実感できたようでした。学生だけでなく、社会人も伝えることに必死で、フォーカスが自分に向いている方が多いように感じます。

そういう時には「主人公は聞き手」ということを思い出すだけで変化が生まれるのではないでしょうか。弊社の「会議プレゼンテーション」研修の中ではこういったマインド面とスキル面の両面にアプローチすることで「相手が動く」プレゼンの実現をお手伝いしています。もしご興味があれば体験セミナーを覗いてみてください。