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国境を越える資料作成術: 海外子会社のコミュニケーションを革新する

ルバート代表の松上です。前回は鳥取県で開催した研修の様子を書きましたが、今回は大手企業のシンガポールの子会社向けに開催した資料作成研修の様子について書きたいと思います。


英語コミュニケーションの限界と資料の力

実は英語での資料作成研修は10年以上にわたって実現したい研修でした。その原点は私自身のNGOでの経験にさかのぼります。当時、アフリカのザンビアという国でローカルNGOと共同で営業改善や教育のプロジェクトを実施していました。もちろん英語でコミュニケーションを行っていたのですが、お互いノンネイティブ同士ということもあり、誤解の連続でした。

そこから突然英語をレベルアップできるわけもなく、困っていた時に思いついたのが、コミュニケーション内容を資料に落として伝えるというコンサルタント時代に使っていたスキルの活用でした。実際に資料を作りこんで、資料を見ればわかる状態にして打ち合わせに臨むとそれまでのミスコミュニケーションが嘘のようにすんなりと理解してもらえたのです。

それ以来、私は英語の勉強はもちろん大事ですが、「資料を使うことで英語では伝わりにくいことがうまく伝わる」ということをことあるごとに言ってきました。自分自身も英語をずっと勉強してきて、費用対効果の観点からすると資料作成が圧倒的にコスパが良いことを感じているからです。

そんな背景から、英語での資料作成研修をやりたいとずっと思ってきたのですが、今回依頼があり、それが実現したのでした。

海外マネジメントの課題と解決策

私はコンサルタントとして多くの企業を見てきましたが、海外の子会社マネジメントに課題を感じる企業はとても多いと感じています。子会社を適切にマネジメントするためには本社側が適切に現地の情報を取り、必要な方針を出すことが必要です。

ただ、多くの場合、駐在員が言語面の問題から子会社の本当の財務状況を把握できていなかったり、通訳が都合の良いことばかりを報告して、実質通訳が子会社を支配してしまっていたり、現地の状況を把握できていないことがほとんどでした。

今回の会社の場合は、現地スタッフが作る資料がわかりづらく、日本の経営陣が現地の事業計画を理解できないという事態が発生していました。そのため、日本人の駐在員が資料の修正や作成に時間を割かれてしまい、本来のマネジメント業務に時間がとれないという課題を抱えていました。

これらに共通するのはコミュニケーションの課題だと感じます。現地スタッフの資料作成スキルのレベルアップの向上と共に、どういう情報をどういう体裁で作成する必要があるのかを日本側が発信するというひな型作成スキルの向上も必要だと感じています。

研修の方法と内容

今回の研修は、まずストーリーラインの作り方、図解での表現を学び、そして、実際の会社資料を題材に使ってどのようにそれを改善すればよいかを考えるという実践的な内容でした。図解での表現を学ぶセクションでは、要素間の情報の関係性を見抜いて図解化するという内容が新鮮だったようで、ゲーム感覚で楽しんでいる様子が見られました。

また、実際の会社資料を使っての実践ワークでは、皆で改善点を考えてもらい、共有してもらい、その後、改善例を見せるという流れで見せましたが、毎回改善点を考えてもらう部分では、それぞれ学んだことをベースに改善点を挙げられており、スキルアップへの意欲が見られました。また、改善例を示すと、受講生からは「おー」という感動の声が上がっていました。

◆まとめ:国境を超えるための資料作成

海外子会社の現地スタッフのコミュニケーションに課題を抱え、駐在員向けに英語を一生懸命トレーニングする企業は多いです。もちろんそれは大事ですが、それに加えて資料作成のスキルを向上することで促成栽培の英語ではなかなか超えられない難しいコミュニケーションが実現できると感じています。ぜひより多くの企業に駐在員や現地スタッフのドキュメントスキルの向上をはかり、国境を超えた高いパフォーマンスを実現してほしいと思っています。