ブログブログ

強みを認識したコーチング事例

目次
1.企業様向けコーチング導入時の目的
2.強みを認識したコーチング事例
3.強みの認識の仕方

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

1.企業様向けコーチング導入時の目的

me:Riseでは、企業様に様々な目的でコーチングを導入いただいております。
導入目的は様々ですが、代表的なものは以下の通りです。

(1)社員が自分らしいキャリアを考えるきっかけとする
(2)社員の自律的なキャリア形成を支援する
(3)1on1ミーティング開始に伴いコーチングを体験し実践につなげる
(4)1on1ミーティングの引き出しを増やす
などです。

本記事では、「(1)社員が自分らしいキャリアを考えるきっかけとする」目的で導入された企業様の中で、「自分の強みを認識したい」というテーマで実施されたコーチング事例をご紹介いたします。

 

2.強みを認識したコーチング事例

「自分らしいキャリアを考える」コーチングのテーマも多岐にわたります。取り扱うテーマは様々です。

たとえば、「今までのキャリアの棚卸しをして今後のキャリアの方向性を明確にしたい」
といった「これから」を扱うケースもあれば、
「組織への貢献感がない。自分の強みが発揮できていないような気がする。そもそも自分の強みが分からなくなってきた」といった、「今現在」を扱うケースもあります。

「貢献感がない」「自信がない」と吐露される場合、得てして自分の強みを再認識することで、「貢献感や自信を取り戻す」ケースがありますので、本日は「強みを認識した事例」をご紹介いたします。

コーチングを受けられたのは、郡司さん(仮名)。
医療機器卸売会社に勤める20代の女性スタッフです。

人当たりが穏やかで周囲への気遣いのできる方でした。長年、営業職社員を下支えしてきましたが、今後は、事務スタッフとして、後輩指導やリーダー的役割を担ってほしいと、会社から期待されていました。
※守秘義務の観点から、お名前や内容は変更しております

コーチングで扱うテーマを設定する際に、郡司さんはこうお話されました。
「今後のキャリアを明確にするよりも、今現在、組織への貢献感が乏しく、なかなか自信が持てないので、自信を持って仕事ができる状態に持っていきたいです。自分がどのように組織に貢献すればよいのか、自分の強みを認識して発揮したいです」とのことでした。

郡司さんに、ご自身の認識している強みをうかがうと、
「よくわかりません。私に職場で発揮できるような強みなんてあるのでしょうか」
と返ってきました。

ご自身の強みを認識できていない、あるいは何となく強みらしき言葉が挙がってくるものの、いまいち実感として強みを発揮するまでに至っていないという方は意外と多いものです。

なぜ強みを認識できていない方が多いかというと、「当たり前にできてしまうこと」、「自然とやってしまうこと」の中に強みがあることが多く、自分で認識することが難しいからです。

海で泳ぐ魚を見て、我々人間は「早く泳ぐなぁ」と感心しますが、魚自身は当たり前にできてしまうし、自分よりも早く泳げる他の魚もいるので、「泳ぐことが強み」とは認識しづらいのと一緒です。

そこで、私は、極力ハードルを下げるように質問してみました。
「強みは、『強み・武器・長所』や『他の人より秀でているもの』『うまくできること』と捉えると、『もっとうまくできる人はいるので』との思いが邪魔をして、なかなか認識しづらいです。職場で『何となくしてやっていること』『何となくできてしまうこと』を挙げていただけますか。」と。

すると、郡司さんは恐縮しながら、いくつか挙げていかれました。
7個程度挙がったところで、このようなやり取りをしました。

(コーチ尾上)
「挙げてみて何か感じたことはありますか」
(郡司さん)
「はい。指示がなくても、先回りして、組織にとって今必要な準備やサポートを率先して取り組んでいることが分かりました」
(尾上コーチ)
「なるほど。それは郡司さんの強みですし、組織に大きく貢献していることだと思いますがいかがですか」
(郡司さん)
「はい。今まではこんなこと、当たり前だと思っていましたし、先輩の〇〇さんの方がもっと先回りも気遣いもできる方なので、自分の強みではないと認識していました」

郡司さんは、特に意識せずに先回りのサポートができる方なのですが、それをもっとうまくできる方が身近にいらしたために、ご自身の強みを認識できなくなっていたのです。

その回のコーチングの終了間際に、次回までのアクション項目を決めていただきますが、今回は「先回りしてサポートできることを『強みとして認識して』仕事してみる」ということになりました。

その次のコーチングで、アクションの振り返りをしていただきました。
(郡司さん)
強みとして認識したことで、今まで感じられなかった貢献感が感じられました。とても自信になりました。そして、今まで周囲の方から感謝の言葉をいただいたことはなかったのですが、『郡司さん、いつもありがとう』と言われました。自分の特性を強みとして認識して行動したことで、職場の方からも私の強みを認識いただけたように感じました。」

 

3.強みの認識の仕方

郡司さんのコーチング事例では、「強みを発揮する」には、以下2ステップが必要だと教えてくれました。

(1)強みを認識する
(2)その強みを意識して行動する(強みを育てる)

強みを認識しないまま行動した場合、自身の手応えや自信につながらないことがあり、また、周囲へのアピール不足になっていることもあったのです。

では、自分では気づきにくい、自分の強みを認識するためにはどうしたらよいでしょうか。
「自分の強みは何か」と問いかけるのではなく、少し違った角度で自問自答することをお勧めします。
以下の質問例を使うと、自分の強みが認識しやすくなりますので、お伝えさせていただきます。

■自分の強みを認識するための質問例
① 小さい頃からよくやっていたことや自然にやっていたことは何ですか?
  成長してからも(職場でも)それに近いことはありますか?
② 他の人は嫌がるのに 自分は比較的楽にできることは何ですか?
③ 長時間・長期間やっても苦にならないことは何ですか?
④ 周囲から、よく褒められること・感謝されること・認められることは何ですか?
⑤ 短所・苦手なことは何ですか?それをひっくり返してみると?
参考『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』八木仁平さん著

また、強みは自分で認識しにくいため、自問自答するだけでなく、信頼できる方に確認してみることも有効な手段です。
「私の強みって何だと思う?」
「私の見習いたいところってどんなところ?」
「私は、組織にどんな貢献していると思う?」

上司の方は、部下の何気ない いつも言動に対して、感謝や労いの言葉を伝えることで、部下の自信につながるかもしれません。

本日の内容が、少しでも皆さまのお役に立てばうれしいです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。

 

【本記事の執筆者】
尾上 俊介

サッポロビール、ファミリーマート、リコージャパンにて20年間、人事採用・教育、障がい者雇用に従事。採用から入社後の定着支援まで携わる中で、社員が成果発揮できるようコーチング・カウンセリングを学ぶ。関わった方々が生き生き働く姿が手応えとなり、コーチとして独立。現在は、会社員・学生のコーチ・カウンセラー、企業研修・大学キャリア講師として活動中。
自身のマイナス経験から築いた「違いや弱みは力になる。どんな自分もどんな仲間も、その人らしく活かす方法」を用いたコーチングを実施している。

AICF認定コーチ
国家資格キャリア・コンサルタント
産業カウンセラー
うつ・クライシス専門カウンセラー
心理危機介入カウンセラー
障害者職業生活相談員