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ロジカルシンキングには実は三つの種類がある

みなさんこんにちは。ルバート代表の松上です。前回はポータブルスキルについて書きましたが、その中でも特に重要な要素が論理思考(ロジカルシンキング)です。ロジカルシンキングはここ20年で世の中に広く知られるようになりましたが、実はこのロジカルシンキングに三つの種類があることをご存じでしょうか。

「ロジカルシンキングが何かを想像してみてください。」研修でこの問いを投げかけると「主張と根拠があること」、「MECE(モレなくダブりなく)のこと」、「問題の真因を見つけること」、「網羅的に解決策を出して、絞り込むこと」と様々な回答が返ってきます。実はこれらは全てロジカルシンキングと考えて良いのですが、いくつかの種類が混ざっています。

そのロジカルシンキングの種類とは、「課題分析」、「解決策立案」、「コミュニケーション」の三つなのです。世の中のロジカルシンキングの書籍はこの三つのうちのいずれかをテーマにしているのですが、実は読者はそれに気づかずに読むため、人によって想像するロジカルシンキングが異なってしまうのです。

例えば、ロジカルシンキングブームの火付け役となった照屋華子さんと岡田恵子さんの「ロジカル・シンキング」。これは基本的には「コミュニケーション」に焦点を当てています。一方、同じころに発売された齋藤嘉則さんの「問題発見プロフェッショナル―『構想力と分析力』」は「課題分析」がメインテーマです。

ロジカルにコミュニケーションすることとロジカルに課題分析をすることとには大きな違いがあります。シンプルに言うと、コミュニケーションは人という「相手」が対象なのに対し、課題分析は「データや情報」が対象ということです。この違いを踏まえずにロジカルシンキングを使うと実は大きな失敗を犯してしまうのです。そして実際に私はこの失敗を多くの場面で見てきました。

この三つの種類を理解する上で助けになるのが、医師の診療プロセスです。医師の診療というのは非常に論理的なので、我々のビジネスでも大変参考になります。

通常医師は「診断」と「治療の選択」と「コミュニケーション」を診療で行います。まず、「診断」では身体の症状や検査から原因を突き止めます。次に「治療の選択」では、その原因を改善する薬や治療法を選択します。そして最後に患者に「コミュニケーション」をします。

ここでポイントとなるのは「診断」はデータや情報から判断すべきもので、客観的なものです。しかし、コミュニケーションは、相手がどういう人で、どういうことに興味があり、どういうことを知るべきか、という観点から内容を組み立てる必要があります。例えば同じ「風邪」という診断であっても、コミュニケーションにおいては相手によって論理の組み立て方は異なるということになります。

ここを混同すると相手の立場や興味関心を無視して、ひたすら自分のロジカルな分析を話してしまうという悲劇が起きてしまいます。忙しそうな患者相手になぜ風邪という診断に至ったかという話を長々と話しても意味がなく、どうすれば忙しい中で風邪に対処するかを伝えてあげた方が患者は嬉しいでしょう。

「あの人は論理的なんだけど、コミュニケーションがちょっとあれなんだよなあ…」と言われる人のほとんどが、自分の分析や考えを語る一方で、相手に合わせて論理を構築するというロジカルコミュニケーションの基本ができていないことが多いのです。

ぜひビジネスの場面ではこの医師の診療プロセスを思い出してみてください。もし更にこの話を深めたいという方がいましたら、3月に人材育成担当者様向けに無料のロジカルシンキングのセミナーを開催しますので、お気軽にご参加いただければと思います。 【 詳細はこちら≫≫ 】