ルバート代表の松上です。今回は「仕事を楽しむ」ために必要なことをスポーツを参考にして考えていきたいと思います。
仕事を楽しむとは？
最初に断っておきますが、仕事の楽しみ方は色々であって良いと思います。気持ちの良い同僚と毎日仕事をするとか、毎月の給料日を楽しみにするとか、楽しみ方は多様ですし、一つではないと思います。ただ、ここでは、仕事をアスリートが行うスポーツのようなものとして捉えた時にどのようにしたら楽しめるかについて考えたいと思います。
オリンピックの前に代表選手が「オリンピックを楽しんできたいと思います」という発言をするのを聞いたことがあると思います。これはどのような楽しみ方でしょうか。恐らくここでの「楽しみ」というのは、今まで努力して伸ばしてきたスキルや技やチームワークをオリンピックという多くの人が注目する舞台で、高いレベルで発揮したいということだと思います。
そこにはそれまでの積み重ねというものがあり、それを発揮することで「楽しむ」という状態につなげたいという想いが隠されているように思います。高いレベルのアスリートの場合、楽しむというのはレベルの高いパフォーマンスをするということになるかと思います。
高いパフォーマンスを発揮するには？
「奇跡のレッスン」というNHKの番組をご存じでしょうか。私はこの番組が大好きで録画して何度も見返すことがあるくらいです。この番組では著名な指導者が中学や高校のクラブ活動を短期間指導して子供たちの持っているポテンシャルを伸ばしていきます。著名な指導者というのも、ラグビーのエディ・ジョーンズ、サッカーのハンス・オフト、バスケットのトム・ホーバスなど本当に厳選された一流の指導者ばかりです。
驚くのはたった１週間ほどの指導で子供たちの実力が大きく伸びることがほとんどだということです。いかに指導者、また指導が重要かということをこの番組では思い知らされます。
この番組を見ていると、指導者たちの指導のある共通点に気付きます。それは「基礎を徹底する」ということ。もう一つが「実戦重視」であることです。
どの指導者も間違いなく基礎練習を大事にしています。そして基礎練習のやり方もすごくこだわっています。間違った基礎練習をしているとすぐに修正をかけます。「正しい」基礎練習を重要視していると言った方が良いかもしれません。そして、また実戦を大事にしています。基礎練習を行ったら必ず実践の中でそれがどう生かされるかをイメージできるような指導をしています。基礎練習の中でも実戦がイメージできない練習は避けているように見えます。
ビジネスでは？
私はこの基礎練習の重要性はビジネスでも同様だと感じています。ルバートでは「ビジネスコアスキル」と呼んでいますが、ロジカルシンキング、資料作成、ワークプランニング、会議ファシリテーション、会議プレゼンテーションなどの基礎スキルがあるからこそ、質が高く、楽しい仕事ができるのだと思います。
ただここには大きなハードルがあります。それは基礎スキルの習得には大量の反復練習が必要だということです。そして、反復練習は単純であまり楽しいものではありません。
孫泰蔵さんの「冒険の書」という本には「基礎練習はむしろ中級者向けの訓練で、初学者はまずは実際にやってみるから入った方が良い」という部分がありますが、これは基礎練習の本質をついていると思います。とはいえ、ビジネスの現場で実際にやってみる場を作るというのは、実は結構な手間や準備がかかることも多いです。ではどうすれば良いのでしょうか。
基礎スキルの訓練を個人に委ねない
私は基礎スキルの反復練習は、個人で取り組むにはハードルが高すぎると思っています。もちろん一部の「モチベーションお化け」やたまたま継続力が高い人はやり切れるかもしれませんが、それでは全体の底上げにはなりません。
今までの経験で言うと、基礎スキル向上は組織で取り組むことが大事だと感じています。具体的には目指す基礎スキルレベルの目標設定を行う、集合型の研修でインプットを行う、1on1での基礎スキルのフィードバックの場を設ける、などが有効だと感じています。
とある会社で「資料作成スキルは個人で頑張って欲しいスキルなんですよね」ということを言われたことがあるのですが、もし個人で頑張って欲しいのなら「最低限このレベルは目指してほしい」という基準を示さないと個人の基礎スキルのレベルアップは望めないと思っています。
終わりに
「仕事を楽しむ」という話から基礎スキルの重要性、そしてそれをどうすれば伸ばせるかということを考えてきました。仕事を楽しむ形は色々あってよいと思いますが、皆が基礎スキルが高く、高いレベルで「仕事を楽しむ」ことができると業績も上がり、理想的ではないかなと思っています。参考にしていただければ幸いです。