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マネジメント層へのコーチング事例「伝わる評価面談にしたい」

・評価面談で伝えたいことが本当に伝わっているのか不安
・質問しても相手の反応が薄い
・正直、何を話していいか悩む

企業のマネジメント層の方とのコーチングや研修では、このような部下との面談に苦労されているという悩みが登場します。

・自分の時は上司に怒られながら育ててもらった
・飲みの場でプライベートの話もできたけど今は難しい
・自分だって話を聞いてもらいたい

というマネジメント層の方の本音を伺うことも度々あります。

「○○ハラスメント」に非常に敏感にならなければいけない時代において、業績や仕事のパフォーマンスを高めていくよう組織を先導する立場だからこそ、「言いたいけど言えない」「言っても伝わらない」ことに悩んでいます。

そこで今回は、企業の役員の方とのコーチングの中で、コーチング的アプローチで部下との面談に関する悩みを解決した事例をご紹介します。

●相談者:
IT企業役員 Aさん

●相談内容:
「部下との評価面談で、部下の意見を聞き出したいと思っているが、前回は全く相手が何も話さず、のれんに腕押しな状態で終わってしまった。次の面談では相手がどう考えているのかを聞けるようになりたい」

●コーチングのステップ:
 1.自分の考えや思いを明確にする
 2.相手目線になる
 3.面談のシミュレーションをする

 

1.自分の考えや思いを明確にする

面談という部下とのコミュニケーションにお悩みの場合、部下をなんとかして変えたい(話してもらいたい、行動を変えさせたい)という思惑が全面に出てきます。意識は相手中心です。
ですがコミュニケーションは双方で行うもの。そして相手は変えられないという前提にたつと、まずは自分自身に目を向けることが最初のステップとなります。

面談で上司として伝えなければいけないことはもちろん、
「なんで何も言わないの?言いたいことありそうな顔しているのに」
「もっと本当は積極的に話しかけてほしい」
「なんで言った通りにしないんだろう」
など、実際には口に出すことはない自分のネガティブな考えや思いも全て書き出してみます。

すると、自分が腹の底で思っていたことが不意に出てきたりして、この時点で頭がスッキリしたり、本当に伝えたかったことが出てきたりします。
Aさんは、自分で思っていた以上に部下に対して不満を持っていたことに驚いていました。意外と自分に目を向けてないことにも気づいて若干ショックだったとも話していました。

 

2.相手目線になる

次は面談相手の心情になってみます。この時、可能であれば椅子を座り変えて、面談相手の部下になりきって座ってみるのがおすすめです。そしてステップ1で書き出した上司の思いを、部下として聞いてみたらどう感じるかをイメージします。納得することもあれば、反発することもあるでしょう。どんなふうに受け取るかをイメージしてみます。

Aさんは、(Aさん自身がステップ1で書き出した)上司の言葉に反発する部分もあれば、納得する部分もあることに気づきました。そして聞いていないようで意外と聞いているかもと感じたそうです。

ちなみに、部下の気持ちになってと言われても部下の心情が全く思い浮かばないという方もいらっしゃいます。その場合は部下のことを把握していない、コミュニケーションが少ない可能性があります。その場合、まずは部下を観察する、話しかけてみるというアプローチが良いかもしれません。

 

3.面談のシミュレーションをする

自分の思いと相手目線の両方を押さえた上で、面談のシミュレーションを行います。

上司として伝えること、部下の話を受け止めること、次に向かうためのスイッチを入れるなど、次の面談での目標を決めた上で、何をどう伝えたら良いかをまとめていきます。

この段階でAさんは、前回とは全く違うものになると確信されていました。前回は「相手の話を聞かなければいけない」という思いと「自分のこともわかってほしい」という思いがぶつかり合って、結果として面談として全く成立していなかったと気づいたそうです。

 

●コーチングの効果
伝えるべきことが伝わった
部下が自ら話してくれた
上司としての自信につながった

Aさんは、コーチングを受けた後に実際に部下と面談したところ、前回は部下が全く話さず、一方的に自分が話して10分足らずで終わってしまった面談が、今回は部下が自らのことを話して1時間にも及ぶ面談になったそうです。しかも上司として伝えたいこともしっかりと伝えられて、上司としての自信にもなったそうです。

今回は面談での「伝わる伝え方」と「部下が自ら話す」ためにコーチングを活用した事例をご紹介しました。

1on1や評価面談など、上司と部下で1対1で話す場面は多々あります。その時間はまさに部下の成長スピードを速め、可能性を広げる時間です。面談の質が部下の育成につながります。その際、コーチングを活用することで面談の質をグッと高めることができます。

 

【本記事の執筆者】

河邊 英里子

SMBC日興証券(株)に18年勤務。営業、債券・投資信託のマーケティング、人材育成を担当。

現在はアスリート、経営者の個別コーチングやチームサポート、企業研修を軸に活動。2016年にはメンタルサポートしていた女子体操選手がリオ・オリンピックに出場、48年ぶりの4位に貢献した。目標を明確にし、クライアントが目指す結果までの工程を作るコーチング・研修は言語化力、行動力が上がり、実際に変化が出ると定評がある。

(一社)フィールド・フロー認定スポーツメンタルコーチ、チームフロープロコーチ養成スクール認定コーチ、全米NLP協会プラクティショナー