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フィードバック 文化を広げるためにできること ~フィードバック≠ダメ出し

ルバート代表の松上です。最近様々なお客様とお話をする中で「うちにはフィードバック文化がないから…」ということをよく聞く機会があり、フィードバックをどのように組織に広めたら良いか、また、良いフィードバックの方法とはどのようなものか、について興味をもっていました。

そんな中、つい先日、「はたらきがいのある会社」ランキング(中規模部門)で6年連続1位を獲得された株式会社コンカーの三村社長による「フィードバック研修」を受講し、大変感銘を受けたので、その内容を一部共有させていただこうと思います。皆さんのご参考になれば幸いです。(詳しい内容は「みんなのフィードバック大全」(三村真宗著)をご覧ください)

 

フィードバックとは?

通常フィードバックというと、上司から部下に対して改善点を伝えることを思い浮かべると思います。しかし、三村社長によるとコンカー社のフィードバックは二つの点において大きく異なります。

一つ目がフィードバックは上司から部下だけでなく、部下から上司や同僚同士でも行うものであるという点です。例えば三村社長自身も部下からのフィードバックを受けることはあり、むしろそれを奨励しているのです。

実際に三村社長はプレゼンテーションで無意識にお客様をペンで指したことがあったのですが、プレゼン後に部下から「失礼に当たるかもしれません」とフィードバックを受けて、その行為に気付き、フィードバックに大変感謝したという事例を紹介していました。

そしてもう一つが、良い点もフィードバックするという点です。これをコンカー社ではポジティブフィードバックと呼んでいます。面白いのは改善点の指摘はネガティブフィードバックと呼ばずに、「ギャップフィードバック」と呼んでいるところです。これは本来のあるべき姿と現在の姿にギャップがあり、そこを指摘しているからという考えに基づいています。

 

ポジティブフィードバック vs ギャップフィードバック

通常は改善点の指摘が多いフィードバックですが、コンカー社のフィードバックは異なるようです。三村社長の感覚で行くと、フィードバックの割合は、ポジティブフィードバック9割、軽めのギャップフィードバック0.9割、重いギャップフィードバック0.1割のようです。つまりほとんどのフィードバックがポジティブなものなのです。

この理由は、相手の「好ましい行動を強化できる」ことや「自信の強化につながる」ことからということでした。またこれは互いの関係性の強化や心理的安全性強化の狙いもあるようでした。ただ、私が一番納得した理由は、「将来的にギャップフィードバックをしやすくする」というところでした。

日本人は自分の意見が反対されると自分自身が否定されたように感じる傾向があるとよく言われます。私はフィードバックを行うときに、事象に対してフィードバックをするようにしていますが、それでもやはり相手が自分自身が否定されたように感じてモチベーションを下げたり、自信を失うケースをよく見てきました。

私自身も自分の意見がメンバーに反対されると落ち込む時もあるので、これはある意味仕方ないように思います。

そういったことを防ぐためにも普段からポジティブフィードバックを重ねて、「あなたの仕事ぶりを認めているよ」ということを伝えておくことが大事なのだと思います。ギャップフィードバックを行う基盤づくりが普段のポジティブフィードバックだと感じました。

 

ポジティブフィードバックのポイント

ポジティブフィードバックが9割とすると、かなりの部分のフィードバックは「良いこと」についてになります。ただそうすると、「いいね」とか「すごい」とか表面的なフィードバックになって、相手が慣れてしまうことが起きてしまいます。

三村社長によるとここに一工夫が必要で、なぜよかったのかを具体的な理由もあわせて伝えることが大事とのことでした。例えば、「資料良かったよ」ではなく、「資料の〇〇の図解がお客様もうなずかれていてすごくわかりやすかったよ」のようなイメージです。頭を使うのですが、どちらがフィードバックとして嬉しいかは一目瞭然ですし、何が良かったかを伝えてもらうと、今後も同じような行動を続けようと思ってもらえそうです。

 

終わりに

フィードバック文化を広めたいと思いつつ、なかなか広まらない理由の一つに「フィードバックすると雰囲気が重くなるから」とか「関係性がそんなにできていないから」といったことがあると思います。そんな時には、まずはポジティブフィードバックから始めることを意識してはいかがでしょうか。

三村社長からは他にもフィードバックの大事なポイントをたくさん共有していただき、私も日々実践しています。そして少しずつですがフィードバックのコツを身に着けてきている気がします。また、手ごたえも感じています。フィードバックをベースに成長し合う関係性を目指される皆さまにはぜひ三村社長の「みんなのフィードバック大全」をご覧いただければと思います。