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自由ではなく、制約があるから本質に迫れる

ルバート代表の松上です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。2023年も2週間以上が過ぎましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。2023年の抱負や目標を作成された方も多いのではないでしょうか。新たな目標を立てるのはワクワクしますし、日々に活力を与えてくれるものだと思います。ただ一方で、立てた目標の多くが実現できないこともよくあります。悲しい現実ですが、これを何とかできないものでしょうか。

 

制約を認識する
目標を達成できない理由は様々だと思います。一般的によく言われるのは、目標がSMARTになっていないということです。SMARTとは、Specific(具体性)、 Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-based(期限)の頭文字をとったものです。目標がこの5つの要件を満たしていれば、達成する可能性が高まり、後から振り返りが可能になるというものです。

例えば、目標が「マラソンを走る」であれば、SMARTの要素を活用して、行動計画を立てていきます。「年をとっても健康な生活を送るために、12月中旬の〇〇マラソンを目標に週に2回は1時間のジョギングをする」、こんな形です。

ただSMARTだけでは不十分だと私は考えます。SMARTに加えて大事なのが「制約」の把握だと私は感じています。そしてこの制約を忘れて行動計画を立てると多くの場合、三日坊主になってしまうと感じています。

 

なぜ制約が大事?
ここでいう制約とは、時間的制約(〇〇時~〇〇時は仕事、〇〇時以降は自宅で家事)、空間的制約(ジョギングに適したコースがない)、心理的制約(朝は寒いからジョギングは嫌)などになります。

これらの制約をまず自分なりに整理して、行動計画を立てると目標の実現可能性がグッと上がります。当たり前のように聞こえますが、目標や行動計画を立てる際にこの制約を認識できる人は本当に一握りです。恐らく、制約を考え出すと目標を実現できるかが不安になり、目標設定や行動計画のモチベーションが下がってしまうからではないかと私は考えています。

 

制約を味方につける
ただよく考えてみるとこの「制約」というのは今の自分を取り巻く、まさに「現実」です(〇〇時~〇〇時は仕事、〇〇時以降は自宅で家事、ジョギングに適したコースがない、朝は寒い)。この制約という現実に向き合うことなくして、行動することや目標を達成するということは難しいと思います。ではこのモチベーションを下げる要素の塊のような制約にどう向き合えばよいのでしょうか。

カギになるのは制約を前向きにとらえるということだと思います。デザイン思考の世界では「制約により、人はよりクリエイティブになれる」ということが言われています。私は実はこれは制約により人は本質的なことによりフォーカスできるようになるからだと思っています。そして制約が厳しければ厳しいほど、人はより本質に迫れるのだと思います。

例えば、今まで1時間で行っていたエクセルの入力を10分に短縮しろという強力な制約がかけられたとします。するとエクセルのショートカットキーを覚えるなどの小手先の対応では難しくなります。そんなの無理だと誰もが思うと思います。

ただ、それに本気で取り組んでみようとした時に初めて人は、「手作業であること」がこの作業の本質ではなく、「入力が完了すること」が作業の本質であり、目的だということに気がつきます。その結果、より効率的なマクロやRPAなどの利用を初めて検討するようになると思います。(もっと言うと、そもそもその入力が何を解決しようとしていて、本当に必要な作業なのかというところまで考え始められます)

ついつい人は何か物事が予定通りできないことを外部による制約のせいにしてしまいます。「組織の制約があるから」、「○○があるから」、「もっと自由にできたら」、こんな話はいくらでもあります。しかし単に制約のせいにするのではなく、「その制約の中でできることは何か」を考えることで手段にとらわれず、本質的に達成したいことは何かについて深く考えられるのだと思います。

 

最後に

今回はビジネスコアスキルとは関係のない話を書かきました。ただ、実はこの話を書こうと思ったのは、仕事の中でも制約があると本質に迫った解を得られることが多いと感じたからです。

30分のプレゼンより5分のプレゼンの方が的を射た内容が多かったり、3行にわたるスライドメッセージより1行の方がシャープだったり、事業計画を3文で説明してほしいと伝えたら、より本質的な部分がでてきたり、とこんなことが日々業務で起きています。

みなさんも例えば今まで1時間だった会議を30分という制約をつけたら、どんな内容になるか、など考えてみるとより本質に迫れるかもしれません。2023年も制約が多い日々は続くと思いますが、ぜひ制約を味方につけて過ごしてみませんか。