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ゼロイチを捨て、相反する種をまき、未来を創る

ルバート代表の松上です。2月6日、7日と名城大学とのコラボレーションイベントである「Light up my way.」を開催しました。本イベントは40名以上の学生と社会人が、自身の複数の「ありたい未来」を作り出し、他者にも自身の未来を考えてもらい、アクションを通してその未来を試していくという、デザイン思考をベースにしたライフデザイン講座です。(通常は社会人向けに「未来をつくる選択力講座」という形で開催しています)

 

参加者の皆様の複数のありたい未来を聞いていると、いつもある共通点に気づきます。それは、複数の「ありたい未来」を描くと、一見相反する未来を挙げられる方が多いということです。例えば、「起業家になって社会に大きな影響を与えたい」という未来を描く一方で、もう一つの未来では「田舎で農業に取り組み、じっくり美味しい野菜を作りたい」というようなケースです。「都会に住みたいけど、田舎にも住みたい」、「海外に住みたいけど、日本も好き」ということもよくあるパターンです。

 

この事実は一つのシンプルな真理を我々に提示しています。つまり、「人は多面的である」ということです。また、多くの場合、それは相反する欲求である場合が多いのです。「安定したいけど挑戦したい」、「刺激を受けたいけど、のんびりしたい」、「人に会いたいけど、一人でもいたい」、こんな一見相反する欲求を多くの人々は持っているのです。

 

しかし、実際のところ私たちは会社は一つしか選べないですし、住む場所も基本的には一つになるかと思います。どうすれば私たちは多様な欲求をあきらめずに、相反する欲求を満たせるのでしょうか。色々な考え方があるとは思いますが、私が試してきたことをご紹介できればと思います。

 

私が試してきたこと、それは、できるだけゼロイチで考えないということです。例えば就職や転職の際に、A社とB社とC社で迷っている。A社は海外関係の仕事、B社は給料が良い、C社は社員の人柄が良い。この場合、どれかをあきらめようという判断になりがちです。例えばC社を選んだら、A社やB社で得られたはずの海外関係の仕事と給料は一旦あきらめようと。ただ、このように考えることができるのではないでしょうか。

 

まずC社で働いて、雰囲気の良い会社での仕事を楽しむ。ただ、同時にA社の海外の仕事はできない代わりに週に一度は外国の方とのコミュニティに参加する、B社の給料の良さの代わりに副業を始めてみる、などです。もちろんA社やB社を選んだ場合と比較すると得られるものは小粒にはなると思います。

 

ただ、そこで得たいことをゼロにしないということがポイントだと私は思うのです。自分が求めていることは自分のありたい姿を構成する大事な種です。この種に対して少しでも水を与え続けることが、種を枯らさずに将来の可能性を広げることになるのではないかと私は考えています。

 

例えば私のケースでは、前職のNGOではアフリカのザンビアや南アジアのバングラデシュという国でプロジェクトをしていました。日本とは異なる人や文化から刺激を得ることが仕事の面白さでした。しかし、その中で自身の「自立」が自身の欲求として高まってきました。そこで自分のスキルで人の役に立つものは何かと考え、「資料作成講座」という講座を開始しました。

 

友人の運営するvery50という組織の力を借りながら、年にたった3度ほど週末を利用して開催を続けました。当初は自身が資料作成に強い興味があったわけではなかったのですが、続けているうちに受講生がスキルアップに喜ぶ姿に研修の意義を感じるようになっていきました。また内容もブラッシュアップされていきました。

 

そして4年後にNGOを退職した時には、講座を開催すればある程度の収入を得られ、「自立」の状態に近づいていました。これが現在の自社のベースになっています。最初から100%の力をかけて「自立」に向けて頑張ったわけではないのですが、限られた時間とはいえ、「4年」という歳月が「自立」の芽を育ててくれたのだと思います。そしてその事業をベースに海外に関わる事業に踏み出していきたいと考えています。

 

今回ご紹介した例は私が試してきたことで、全ての人に当てはまる例ではないかもしれません。しかし、現在は企業が副業を解禁したり、リモートでも色々な活動に取り組むことが可能な時代です。「少し試してみる」という環境が以前より整ってきているように思います。多面的な生活に取り組むことで、多面的な自分の欲求を満たしてみませんか。また、もし、自分の欲求がよくわからないという方はぜひ「未来を創る選択力講座」で私たちと共に自身の価値観や欲求を洗い出しませんか。