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【講師紹介】『資料作成と僕~PowerPointなんか大嫌いだった渡邉浩良が失敗をプラスに変えた方法』

ルバートが主催する資料作成講座の講師陣を紹介するシリーズ1回目として、渡邉浩良をご紹介します。

現在、観光・旅行のシンクタンク(株)JTB総合研究所で、公官庁、デベロッパー、旅行会社、国際協力機関等の観光客誘客に係るマーケティング戦略や事業戦略のコンサルティング業務に従事。現役コンサルタントとしての知見を活かし、2018年5月からルバートで資料作成講座の実践編の講師を務める。2014年より東京国際大学国際関係学部兼任講師として、ゼミや講義等を通じて学生の人材育成も行う。

いつかは、世界遺産の保全と活用のフィールドに・・・という若き日の思いを持ちつつ、ビジネス面から観光振興にアプローチ。競合のコンサルティングファームにプロポーザルで負け続けた経験から、資料作成について研究をするようになり、より伝わる・人を動かすことをモットーに日々研鑽を続けている。

文章だらけの「人を動かさない」資料でプレゼンしていた学生時代

―――渡邉さんはコンサルタント・大学講師・資料作成講座講師の3つの顔を持っていらっしゃいますが、もともと資料作成は得意だったのですか

いいえ、実は苦手でした。ルバートで資料作成の講師やプロダクトの開発をしているので、文章を書くことやグラフの作成などは得意なのだろうと思われがちですが、もともと文章を書くことも数値や計算も大の苦手な学生でした。学生時代は、まだまだ資料作成のスキルは低かったです。ですが、プレゼン資料の重要性を実感したのがこの時期でした。

私は世界遺産を専攻する大学院へと進学しました。そのクラスは、建築や化学や考古学をバックグラウンドにもつ出身者が多く、私のような法学部出身者は珍しい環境でした。所属したゼミは建築関連の学部出身者が多く、彼らのプレゼン方法には驚かされました。CADやIllustratorで作ったものをPowerPointに展開しての発表やKeynoteを駆使してかっこいいプレゼンをする同級生も多数いました。法学部出身の私はというと、文字だらけのPowerPointを作り、相手の理解など考えずに資料を作りプレゼンをしていました。振り返るとよくあれでプレゼンしていたなと思います(笑)。

 

プレゼン資料の重要性を失敗から学んだ新人コンサル時代

―――資料作成について勉強し始めたきっかけはなんですか

しっかりと勉強し始めたのは、仕事を始めてからになります。2009年に観光専門のコンサルティング会社に就職しました。業務でプレゼン資料を作る機会が多くあったので、独学で資料作成を勉強しプレゼンをしていました。入社3年目の時に、ある公的機関をクライアントとした大きな案件をメインで担当することになりました。クライアントの担当者は、これまで外資系や日系のコンサルティング会社と仕事をしてきた方で、観光の専門コンサルである我々に非常に期待を持ってくださっていました。

そのクライアントへ中間報告資料のドラフト資料を説明しに伺った帰り道にクライアントの担当者から電話を受けました。「渡邉さん、みなさんの前だから言わなかったけど、あれはプロの資料じゃないですよ。お金払ってるんですよ、ロジックもないし、こんな資料を提出されても困るんですよね。」返す言葉がありませんでした。今でもその時の衝撃は忘れられません。

そのクライアントから他社のコンサルタントが作成した前年の報告書を見せていただいた時に、資料の明瞭さに衝撃を受けました。マトリクス型の資料や定量チャート、複雑な表現方法など当時の自分が到底真似できるようなものではありませんでした。この時、「プロの報告資料というのはこういうものなのか」と気づかされました。このことがきっかけで私の反骨心に火が付き、資料作成について徹底的に研究するようになりました。

 

分かりやすい資料を真似して作ることが資料作成の一番の上達方法

―――資料作成についてどのように勉強していきましたか

資料作成に役立ちそうなサイトを国内だけではなく海外のものまで片っ端から読み漁りました。参考になりそうなチャートやグラフを見つけたら、縮小コピーをして手帳やスクラップノートに貼り、それを時間のある時に眺めたり、自分でも作ってみたりしています。様々なチャートやグラフについて「知っている」ことはもちろん大切ですが、それ以上に「内容を読み解けること」「実際に作れること」はもっと大切です。その2つを体得するのに適した方法は、分かりやすい資料を真似をして実際に作ってみることです。非常にお勧めの勉強方法です。

また、グラフや図解は使い慣れたものばかりを利用するのではなく、意識して使い慣れていないものを使用しています。人間は慣れている表現手法を繰り返し使いたがります。しかし、使い慣れていないものを取り入れることで、いままで思いつかなかった表現の仕方を吸収し手札が増え、自然と取り入れられるようになります。しっかりと資料作成の型を覚え、ルールを知ることで、作業効率も上がり資料の見栄えだけでなく、頭の整理にもなります。

ルバートの「資料作成講義2日間講座」を受講した方ならお分かりだと思いますが、資料作成は論理的に思考することが重要です。コンサルタントが作る資料というのは、冒頭のメッセージ部分を読むだけで資料全体を理解することができます。このようなプロの資料を利用して、自分ならどういうメッセージを書くか、抽出するか、と考えることで論理的思考力の向上に役立てています。

 

―――最後に、資料作成の重要性についてメッセージをお願いします

先月までの6か月間、バンコクのIT企業のプロジェクトにも従事するために現地に駐在していました。多国籍企業の中で言葉では伝わりきれないことを、図解やグラフを用いることで言いたいことが伝わり、意図した形で相手が動いてくれることを実感しました。

一人歩きする資料を作れるようになると、説明の場すら与えてくれません(笑)。プレゼンの際にせっかく拙い英語を練習していたのに、「OK, HIRO, we can understand it easily, so next slide」と言われたことは、嬉しさ半面…という感じでした。

資料作成は必ず結果が出ます。ルバートで講師をさせていただいて実感しているのは、スキルもそうですが、Willが重要だと言うことです。失敗、挫折を経験し、負けず嫌いな我々だからこそ、スキルのほかにも感じていただけることがあるかもしれません。

コンプレックスを持っていた我々だからこそ、皆様の持っている資料に対するコンプレックスを解消できる解決策を知っていると自負しております。