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個人の行動変容がチームを変える ~チーム力を上げた個別コーチング事例~

≪目次≫
1.はじめに
2.コーチング導入の背景と目的
3.アプローチとプロセス
4.成果と変化
5.まとめ

本記事の執筆者
鶴谷 愛子ツルタニ アイコ
  • 国家資格キャリア・コンサルタント
  • CTI認定プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ (CPCC)
 

1. はじめに

昨今、組織内の特定のチームに向けたコーチングの導入が増加しています。
これは、メンバー一人ひとりが個別に内省を深める中で気づきや行動変容を促し、結果として、チーム全体のパフォーマンスやエンゲージメントを高めることが目的です。
多くのケースでは、研修と個別コーチングをセットで行い、全体と個の両方からアプローチします。

今回は、私が実際にコーチとして担当したIT業界のエンジニア(リーダー層)向けの事例をもとに、チーム向け個別コーチングのプロセスと成果をご紹介します。

2. コーチング導入の背景と目的

対象は、IT企業の開発部門。30-40代のベテラン層のエンジニア7名を対象に、半年間のチーム向け個別コーチングを実施しました。

背景には、組織全体を見る視点の欠如と、マネジメント力不足という課題がありました。業績はよく、人間関係も良い組織ではあるものの、技術進歩が非常に速いIT業界において、現状の仕事の姿勢のままでは、組織としての成長が見えないという危機感を持っていました。
上司は「5年後10年後を見据えてスキルアップしてほしい」「組織全体として成果を上げるにはどうしたらよいのかを考えてほしい」と願っていました。

各メンバーが自分のありたい姿の言語化を通して、役割の認識と行動変容が生まれることを目指しました。

3. アプローチとプロセス

半年間にわたり、3回の研修と計6回の個別セッションを実施しました。

研修では、ツールを使いながら個人の価値観やモチベーションの源泉を探ったり、個人のWillと組織のWillの共有ゾーンを確認したりしました。また、横の関係性も深めながら、新たな視野の広がりや気づきを得る機会にもなりました。

個別セッションでは、研修での気づきの振り返りや設定した半年後の目標達成に向けての関わりを行いました。

初回は「何を話せばいいかわからない」という方や後ろ向きの気持ちの方もいました。ただ、回を重ねるうちに、個々のありたい姿やチームへの願いが言語化され、半年後の目標への具体的なアクションを自ら設定し実行できるようになっていきました。

4. 成果と変化

セッションが進むにつれ、個の内省から始まる行動変容が、チーム全体へと波及していきました。

はじめは、エンジニアとしての目標達成をどうしたらいいかと考えている時間が長かった方も、徐々にチームの中の自分として、何をしたいのかに目線がシフトしていきました。

具体的には、「もっとメンバーのモチベーションを上げるために、相手を知るための1on1をしようと思います」「会議などのメンバーの言動を踏まえ、ポジティブフィードバックを日頃からしたいと思います」といった宣言が出てくるようになりました。
矢印が「自分」から「チーム」に向かっていくのが分かるようになりました。

そして、各自が設定したアクションをやってみて感じたことを聞くと、
 「メンバーのことを知っているようで、実は全然知らなかったことが分かった」
 「会議により集中するようになり、メンバーに対してポジティブな面を見つけられることで、そんなメンバーと仕事が一緒にできていることに喜びを感じるようになった」
 といった回答がありました。
このような声から、チーム内の関係性にも良い影響が起きていることが伝わってきました。

また当初、リーダーの共通項としては、「一人で課題を解決していこう」「全部自力で行おう」という意識が強く見られました。
しかし、それをチーム全体の課題として取り組むという視点を持てたことで、「一人でやることが必ずしもリーダーの役割ではない」と理解でき、重荷が下りている様子が印象的でした。
リーダーでありながらメンバーでもある中間管理職は、タスクが非常に多く、「もうこれ以上はできない」と感じている場面も少なくないのではないでしょうか。
そうした気持ちを評価や判断を加えずに、まずはしっかり受け止めることが重要だと感じました。ネガティブと捉えられかねない気持ちや考えも、まずは受け止めてもらえることで、はじめて「そこからどうするか」を考えられるのだと思います。

リーダーは、業務負荷を上げて、一人で出来ることを増やすことが求められているわけではありません。でも、リーダーのこうあるべき像とのギャップにモチベーションが下がっていることも多いと思います。
自分なりのやり方を見つけられたり、一人で抱え込まないことに許可を出せるようになると、次の一歩が見えてきます。

5. まとめ

チーム向け個別コーチングは、一人ひとりの行動変容を促し、チーム力を上げるアプローチです。
コーチングは、設計次第で個々の内省支援だけに留まらないアプローチが可能です。

自身の価値観や強みを理解し、自分の志と組織の志の重なるところを認識すると、人は主体的に役割を担い、組織への貢献度が高くなります。
個人の成長が、結果的に1+1=2以上のチームへの相乗効果を生み出します。

   
   

 

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【本記事の執筆者】
鶴谷 愛子

学生時代から人への好奇心が強く、人がいきいきと働くことを支援したいと思い、転職エージェントの㈱パソナにて約17年間勤務。法人営業・キャリアアドバイザー・研修・人事企画業務に従事。

対人支援としては900名以上の方とキャリア面談を行い、研修担当としては全体のグランドデザイン含め全研修の企画運営を担当。管理職として20名のマネジメントにも1年間従事。成長支援に携わる喜びは感じつつも、より人の本質的な変容に関わりたいという気持ちが強くなりコーチとして独立。

現在は、一人ひとりが自分の内側の声を聴いて、本当の想いや願いから生きていけるよう「心が喜ぶ生き方を後押しするコーチング」を提供中。
コーチとしての好奇心や直感を大事にしながら、

クライアントをエンパワーすることを心がけている。

・国家資格 キャリアコンサルタント
・CTI認定プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ (CPCC)