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ビジネスでは「忍者」はNG? 〜「見えない配慮」が仕事の邪魔をするとき〜

ルバート代表の松上です。今日は、仕事でついついやってしまいがちだけれど、実は「やめた方がいい」行動について書いてみたいと思います。
テーマは、「情報を”意図的に隠す”工夫」です。みなさんは業務の中で「他の人が見やすいように」「混乱しないように」と思って、データや情報をあえて見えないように設定したことはありませんか?

本記事の執筆者
松上 純一郎マツガミ ジュンイチロウ
  • 株式会社Rubato代表取締役
  • 『PowerPoint資料作成プロフェッショナルの大原則』
    『ドリルで学ぶ!人を動かす資料のつくりかた』著者

例えば、
• Excelで不要なシートやセルを非表示にする
• PowerPointで一部のスライドを非表示にして保存する
• メールでBCCを使って情報共有する

こうした行為は一見すると配慮のように思えますが、実は「仕事の透明性」という点で、マイナスに働くことがあるのです。私が外資系コンサルティングファームで働いていた頃、上司からこう叩き込まれました。「仕事では情報を隠すな、見えるようにしろ。」
この言葉の意味を、今では強く実感しています。

今回は、「隠す配慮・工夫」の落とし穴と、その代替手段について、メール・Excel・PowerPointの3つの具体的なツールを使って解説していきたいと思います。

 

1. メールでの「BCC」は本当に親切?

最初のテーマはメールです。皆さんは情報共有のために、関係者をBCCに入れてメールを送ったことはありませんか?私がNGOに勤めていた頃、元商社マンの上司にこう言われました。
「BCCは絶対に使うな。情報共有したいなら、あとから転送しろ。」
なぜBCCがダメなのでしょうか?

それは、BCCで受け取った人が「BCCで入っていることに気づかない」リスクがあるからです。たとえば、BCCで受け取った人が、何の疑いもなく「横から失礼します」と返信してしまうと、他の受信者にとっては「誰?この人?」状態になりますし、本人も「なぜ周りは戸惑っているんだ…?」と混乱してしまいます。
これは、悪気がないだけにトラブルになりやすく、「見えない配慮」が思わぬ誤解を生む典型的なパターンです。情報共有をしたいなら、送信後に「FYI:参考までに」と転送する方が、明快で誤解がありません。

2. Excelでの「非表示」機能は便利?それとも罠?

次にご紹介するのは、Excelの話です。シートが多くなってくると、つい「このシートは使わないし…」と非表示にしてしまうことがあると思います。あるいは、特定のセルを非表示にして、計算式や裏データを隠すこともあると思います。しかし、これも実はやめた方がいい行動の一つです。

理由はシンプルで、他の人からは「その存在自体が見えない」からです。そして何より厄介なのが、非表示にした本人ですら忘れてしまうことです。私はコンサルタント時代に、クライアントから渡された大量のExcelファイルの中身を精査することがよくありましたが、こうした「隠れシート」は本当に困る存在でした。

ある日、どうしても必要なデータが見つからず、何時間も探した末、ようやく非表示のシートを見つけたとき、「宝探しか!」と本気で思ったものです。

では、どうすればいいのでしょうか?おすすめは、「不使用→」という名前の見出しシートを1枚つくり、その後ろにまとめてシートを置いておくことです。非表示ではなく、「使わないけれど存在する」と明示することで、他の人も混乱せずにすみます。(また、本当に不要なシートであれば非表示ではなく削除するべきです)


セルの非表示についても同様です。非表示にするのではなく、グループ化(アウトライン)機能を使って、折りたためるようにするのがベストです。そうすれば、「このセルは隠してあるけれど、ここにありますよ」というメッセージを自然に伝えることができます。


3. PowerPointの「非表示スライド」も落とし穴

最後はPowerPointです。よく見かけるのが、「とりあえず消したくないから非表示にしておこう」とスライドを非表示にするパターンです。これも、一見すると合理的に見えます。しかし、他の人が編集モードで見たときに、それが「非表示」であることに気づかないケースが意外と多いのです。

私自身、プレゼンの直前に「あれ?このスライド出てこない…」と慌てたことが何度もあります。非表示にせず、ファイルの最後に「バックアップスライド」としてまとめておく方が、後で見る人にとっても分かりやすいのです。


また、修正指示をスライドの完全な外側(グレーの領域)に置く方もいますが、これも注意が必要です。編集画面では見えるものの、印刷時やスライドショーでは見えないので、見落とされてしまうリスクが高いのです。私が推奨しているのは、あえてスライド内に少しかぶせる形でラベルを置くという方法。見落とされにくくなりますし、意図も伝わりやすくなります。

「隠す配慮」ではなく「見せる工夫」を

ここまで、メール・Excel・PowerPointの具体例を通じて、「隠す配慮」がどんな問題を引き起こすかを見てきました。共通するメッセージは一つです。「良かれと思って隠すことは、他の人には親切ではない。」ということです。

むしろ、見えるように、わかるようにしておくことこそが、仕事における真の配慮なのです。私たちは「他の人」や「未来の自分」のために仕事をしています。ちょっとした業務の工夫ですが、こうした配慮の積み重ねが、チームの生産性や信頼関係を大きく左右します。
ぜひ、今日から「見える仕事」「見せる資料」を意識してみてください。「ビジネスでは忍者はダメ」、覚えておいていただければと思います。

 

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【本記事の執筆者】
松上 純一郎

同志社大学文学部卒業、神戸大学大学院修了、University of East Anglia修士課程修了。
米国戦略コンサルティングファームのモニターグループで、外資系製薬企業のマーケティング・営業戦略、国内企業の海外進出戦略の策定に従事。その後、NGOに転じ、アライアンス・フォーラム財団にて企業の新興国進出サポート(バングラデシュやアフリカ・ザンビアでのソーラーパネルプロジェクト、栄養食品開発プロジェクト等)や栄養改善プロジェクトに携わる。
現在は株式会社ルバート代表取締役を務める。組織の変革のためにはスキルとwillの両面からサポートすることが必要という考えから、ビジネススキル研修、そしてコーチングのサービスを提供している。