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「任せられない」管理職が変わるとき 〜管理職向けコーチングの成果を分けるもの〜

≪目次≫
1.はじめに
2.任せられない背景にある3つのパターン
3.コーチングで何が変わるのか
4.自分の資質を活かした「任せ方」を見つける
5.管理職向けコーチングの成果を分けるもの
6.変化の兆し
7.おわりに

本記事の執筆者
重次 泰子シゲツグ ヤスコ
  • 国際コーチング連盟認定コーチ(PCC)
  • GALLUP認定ストレングスコーチ
 

1.はじめに

管理職向けのコーチングで、よく扱われるテーマのひとつに「部下に任せられない」というものがあります。
もちろん、ご本人も部下育成が大切であることは十分に理解されているのですが、実際の現場では、「自分でやった方が早い」「任せてもクオリティが心配」などと感じ、結果的に自分で抱え込んでしまうことがあります。

2.任せられない背景にある3つのパターン

一つ目は、「自分でやった方が早い」と感じるケースです。
達成意欲が高く、自分でどんどん物事を前に進めてきた方に多いパターンです。ご本人は、背中を見せることがリーダーシップだと考えていますが、同じパターンで動けないメンバーもいるわけで、結果、管理職側は「なぜ自分から動かないのか」とイライラし、メンバー側も萎縮するなど、すれ違いが起きることがあります。

二つ目は、任せた後のクオリティが心配で仕方がないケースです。
責任感が強く、成果の質を大切にする方ほど、途中で口を出しすぎたり、最後は自分で巻き取ってしまったりします。ご本人も成果と育成の間で揺れ、部下にいら立ちを感じたり、そういう自分を責めてしまうこともあります。

三つ目は、意見を言わない部下を「やる気がない」と見てしまうケースです。
自分自身が会議で自然に意見を言える方や、新しいアイディアを出すことが得意な方の場合、発言しない部下を見ると、「やる気がないのでは」と感じてしまうことがあります。しかし実際には、上司の反応、場の空気、心理的安全性の程度などによって、言い出しにくくなっている場合もあります。

3.コーチングで何が変わるのか

セッションで変化が起きるとき、共通して見えることがあります。それは、管理職の方が「部下の問題」だけでなく、「自分の見方や思考のクセ」に気づいていくことです。
たとえば、「なぜ部下はできないのか」から、「自分は何を当たり前だと思っているのか」へ。
「なぜ意見を言わないのか」から、「意見を言わない背景に何があるのか」へ。
このように問いが変わると、部下を見る視点も変わります。「できないこと」だけでなく、部下の強みや、それをどう活かすのかに目が向き始め、関わり方も変わっていきます。

4.自分の資質を活かした「任せ方」を見つける

管理職にとって、「任せる」ことは簡単ではありません。頭では任せた方がよいと分かっていても、いざ現場になると、不安や怖さが出てくることがあります。
そのときに大切なのは、「任せるべき」と無理に自分を変えようとするのではなく、まず自分のパターンに気づくことだと考えます。

何が一番気になるのか。何が怖いのか。どのような場面で、つい口を出したくなるのか。過去にうまく任せられたときには、どのような条件が整っていたのか。

たとえば、責任感が強い方であれば、最初に期待する成果水準や確認のタイミングを部下と握っておくことで、安心して任せやすくなるかもしれません。達成意欲が高い方であれば、任せることを「自分が手を離すこと」ではなく、「チーム全体でより大きな成果を出すための方法」と捉え直すことで、前に進みやすくなるかもしれません。
つまり、任せ方にも、その人らしさがあります。

コーチングでは、任せるポイントを探しながら、まずは今より10%だけ任せてみる。その小さな試行錯誤を重ねることで、「任せなければならない」から、「このやり方なら任せられる」へと、少しずつ感覚が変わっていきます。

5.管理職向けコーチングの成果を分けるもの

管理職向けコーチングの成果は、本人とコーチだけで決まるわけではありません。特に法人向けのコーチングでは、上司や部門全体が、その管理職をどのように支えているかが大きく影響します。
成果が出やすいケースでは、上司が本人に対して、期待していること、強みだと感じていること、今後さらに開発してほしいことを伝えています。そして、このコーチングが評価のためではなく、成長を支援するための機会であることも共有されています。

こうしたメッセージが伝わっていると、本人はコーチングを「問題があるから受けさせられるもの」ではなく、「期待され、応援されているからこそ用意された機会」と受け止めやすくなります。
もちろん、現実にはここまで環境が整っているケースばかりではありません。むしろ、上司との関係性そのものがコーチングテーマになることもあります。そのような場合でも、守秘義務のある外部コーチとの対話は、管理職本人が安心して本音を扱い、自分の考えを整理する大切な場になります。

6.変化の兆し

コーチングの成果は、「気づきがありました」だけではなく、現場での行動変容として表れます
たとえば、部下のアウトプットを見てすぐに修正するのではなく、まず本人の考えを聞くようになる。会議で自分が最初に話すのではなく、部下に先に意見を出してもらう。こうした小さな行動の変化が、チームの雰囲気を少しずつ変えていきます。
管理職が変わることで、部下は「任されている」と感じやすくなります。そして、部下が力を発揮し始めることで、管理職自身も「任せても大丈夫かもしれない」という感覚を持てるようになります。

7.おわりに

管理職が部下に任せられない背景には、本人のスキル不足だけでなく、強み、責任感、成果へのこだわりがあります。その強みが強く出すぎると、部下の成長機会を奪ったり、チームの雰囲気を緊張させたりすることもあります。
コーチングでは、管理職が自分の思考のクセに気づき、部下を見る視点を変え、自分らしい任せ方を見つけていきます。そして、その変化を支えるには、本人の努力だけでなく、上司や組織からの期待と応援も重要です。
管理職は、一人で変わるわけではありません。期待され、応援され、自分の強みと向き合う場があることで、「自分が頑張るリーダー」から「部下が力を発揮できるリーダー」へと、少しずつ変わっていくのだと思います。

 

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【本記事の執筆者】
重次 泰子

日本銀行で国際金融調査、為替のディーリング業務に約10年従事。4年間の子育て期間を経て、三菱総合研究所で金融経済のリサーチ業務に計13年携わる一方、「メンバーの幸福度とチームの成果の両方を引き上げる仕組みづくりはないか」という問題意識を持ち、コーチングを学ぶ。

現在は個人とチームのリソースを最大限に活かし、成果を上げることを目標に、ビジネスパーソン向けのコーチングや、企業研修などを中心に活動中。 個人の強みにフォーカスし、その人らしさを活かして成果を上げるコーチングに定評がある。クリフトンストレングスを使った、その人の強みを活かしたコーチングを受けたい方におすすめ。(ストレングスファインダーを受検していない方もご利用いただけます)

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