「若手が受け身になっている」
「1on1をやっているが、業務確認で終わっている」
こうした状態に、課題感を持ちながらも打ち手が見つからない——
そんな組織は少なくありません。
本記事では、税理士・会計士・社会保険労務士などを抱える約80名規模の法人において実施した、コーチング研修の導入事例と変化をご紹介します。
導入背景:専門性が高いがゆえの“対話不足”
この法人では、以下のような課題がありました。
- 専門職としての個の力は高いが、組織としての一体感が弱い
- 会議での発言が一部のメンバーに偏る
- 若手が指示待ちになりやすい
- マネージャーが“教える”関わりに偏っている
一見、問題は表面化していないものの、組織としての成長にブレーキがかかり始めている状態でした。
施策:4回シリーズのコーチング研修+現場実践
この課題に対し、単発研修ではなく、“継続型のコーチング研修(全4回)”を実施しました。
対象は、経営層〜若手リーダー層。
【研修設計のポイント】
- コーチングの基礎理解(傾聴・承認・質問・フィードバック)
- 多様性の理解(価値観・思考の違い)
- 実践トレーニング(ロールプレイ中心)
- 現場での1on1実践(宿題形式)
特に重要だったのは、 「研修で終わらせず、現場で使う設計」にしたことです。
各回の間に、部下との1on1でコーチングを実践してもらい、次回研修で振り返りと改善を行いました。
導入による組織の変化
本研修の導入により、マネージャー・若手・組織全体の3つのレイヤーで、明確な変化が見られました。
マネージャーの関わり方の変化
導入前は、
- 指示・指導が中心
- 正解を教えるコミュニケーション
が主流でしたが、
導入後は、
- 相手に考えさせる問いかけ
- 意見を引き出す対話
- プロセスへの承認
へと変化していきました。“教える人”から“引き出す人”への変化が見られました。
若手の主体性の変化
現場での1on1を通じて、若手側にも変化が見られました。
- これまで発言しなかった若手が発言するようになった
- 指示待ちではなく、自ら提案するようになった
- 上司との心理的距離が縮まった
特に印象的だったのは、「意見を言ってもいい」と感じられる空気が生まれたことです。
組織全体の対話の変化
研修と実践を繰り返すことで、
- 会議での発言数が増加
- 異なる視点が出るようになった
- 他部署との相談が増えた
といった変化が起きました。
これは単なるスキル向上ではなく、組織文化の変化の兆しと言えます。
なぜコーチングが有効だったのか
今回のケースで効果が出た理由は、コーチングが単なるスキルではなく、 「対話の構造そのものを変えるアプローチ」だからです。
特に専門職組織では、
- 正しさを重視する文化
- 自分のやり方へのこだわり
が強いため、「問い」「承認」「傾聴」といった要素が機能すると、組織に大きな変化が生まれます。
まとめ:専門職組織こそ“対話設計”が鍵になる
専門性の高い組織ほど、
- 個に依存しやすい
- 対話が生まれにくい
- 組織としての学習が進みにくい
という特徴があります。だからこそ重要なのは、意図的に「対話の質」を設計することです。
導入を検討されている方へ
もし貴社において、
- マネージャーの育成に課題がある
- 若手の主体性を高めたい
- 組織の対話を活性化したい
といったテーマがある場合、コーチングを活用した研修や個別コーチングは有効な選択肢となります。
単発ではなく「継続×実践」を組み合わせることで、組織の変化をより確実に促進することが可能です。コーチングを実践する側、受ける側の双方が関わることで、組織内の対話の構造が変わり、心理的安全性と成果の両立を実現する有効なアプローチとなります。
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- 座学研修で1on1のテクニックを知識としてインプット
- 研修後にプロコーチによるコーチングを1~3回受講し1on1の実践イメージを高める
- 個人のセンスや感覚に頼らず、誰でもすぐに実践できるメソッド
髙本 由美子
旅行会社に勤務後、カナダに語学留学。帰国後にベルリッツジャパン㈱の法人営業、スクールマネージャーを8年間経験。外国人や年上の部下のマネジメントに悩む中で人材活用に興味を持ち人材業界へ。以後18年間、人材サービス会社にて約3000人以上のキャリア相談、1000社以上の採用支援を行う。
2018年にコーチ資格を取得し、現在は理系職専門の人材サービス会社での転職・複業支援コンサルタントに加え、キャリアや年齢を重ねることに悩んでいるビジネスパーソンに向けたコーチング、認定コーチ育成機関の講座サポートなどを中心に活動中。
・国際コーチング連盟認定コーチ(PCC)
・一般社団法人 コーチングプラットフォーム認定コーチ
・国家資格キャリアコンサルタント