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企業の女性活躍推進のためのコーチング導入とその効果

≪目次≫
1.はじめに
2.女性活躍推進の現状と課題
3.コーチング導入の意義
4.事例とコーチングがもたらす具体的効果
5.まとめ

本記事の執筆者
中田 真理子ナカタ マリコ
  • CTI認定プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ (CPCC)
  • 全米NLP協会プラクティショナー
 

1.はじめに

日本の企業において「女性活躍推進」は長年のテーマですが、政府の掲げる「女性管理職比率30%」の目標に向けても、進展はまだ十分とはいえない場合が多いのではないでしょうか。少子高齢化により人材不足が深刻化する中、多様な人材が持つ力を最大限に引き出すことは、企業の成長戦略そのものと言えます。
その中で注目を集めているのが コーチングの導入 です。従来の研修や制度設計に加え、個々人に寄り添ったコーチングを取り入れることで、女性社員のキャリア形成支援やリーダーシップ開発を強化し、組織全体の活性化につなげる企業が増えています。

2.女性活躍推進の現状と課題

多くの企業で「制度」は整備されつつあります。産休・育休制度や時短勤務制度、在宅勤務制度などは拡充されてきました。しかし、制度が存在するだけでは不十分で、以下のような課題が残されています。

  • ロールモデル不足:管理職に女性が少なく、キャリアの将来像が描きにくい
  • アンコンシャス・バイアス:上司や同僚の無意識の思い込みが活躍を阻害
  • 自己効力感の低さ:挑戦や意思決定に自信を持ちにくい
  • 上司の関わり方:性別に配慮しすぎたり、逆に配慮が足りなかったりと支援が一律でない

こうした「目に見えない壁」を取り除くためには、単なる仕組みではなく、一人ひとりの意識や行動を変えるアプローチが必要です。そこで効果を発揮するのがコーチングです。

3.コーチング導入の意義

コーチングは「問いかけと対話」を通じて本人の気づきを促し、自発的な行動変容を引き出す手法です。特に女性活躍推進の文脈では以下のような意義があります。

  1. キャリアの自律性を育む
    自分の強みや価値観を言語化し、キャリアの選択肢を広げることができる
  2. 心理的安全性の確保
    職場で安心して意見を述べたり挑戦できる環境づくりをサポート
  3. リーダーシップの発揮
    管理職候補や中堅社員が、自分らしいリーダーシップを見つけやすくなる
  4. 上司との関係改善
    上司側へのコーチング導入により、部下育成の質が向上する

4. 事例とコーチングがもたらす効果

私は複数の企業で女性活躍推進施策の一環として1対1のコーチングやメンタリングに関わらせていただいています。コーチングやメンタリングのみを実施する場合もあれば、合わせて社内メンターとの面談を定期的に実施したり、経営者育成プログラムや昇格時の研修等と組み合わせて実施する場合があります。また、途中に上長へのヒアリングを行い職場でのご本人の状況等を伺う場合もあります。

受講対象者は人事部や職場上司が推薦する場合と手上げの場合がありますが、前者の方が多い印象です。コーチングやメンタリング実施前に企業人事の方から対象者に向けてガイダンスをすると、「なぜ私が選ばれたのだろうか」「また“女性”と特別扱いされて受けなければならないのか」「昇進したくないのに受けさせられるのは億劫」といったネガティブな反応がある場合がありますが、ほとんどの場合は初回セッション時に目的や意図を話すことで前向きに向き合ってくださいます。

これまで女性リーダー層(20代〜50代、現場リーダー〜役員)向けに実施した中で私が感じた効果としては以下のものが挙げられます。

キャリアの明確化

目の前の仕事に一生懸命取り組んできたもののキャリアを深く考えたことがない方や、男性が活躍する中で自分がプライベートと仕事を両立しながら活躍するイメージが湧かないなど、今後のキャリアが曖昧な理由は多様です。今の環境や制約を一旦脇に置いて中長期のキャリアビジョンを言語化することで、逆算的に今の環境で何をしていきたいかが明確になる場合が多いです。また、ビジョンに向かうアプローチは多様かつユニークであり、男性上司など誰かと同じである必要はないという気づきと安堵が生まれることが多いです。

挑戦意欲の向上

自分を受け止め励ましてくれる存在(コーチ)がいることで、これまで躊躇していたことを思い切って行動してみる、挑戦してみるという効果があります。コーチングセッションは3〜9回程度実施しますが、定期的にコーチとの時間を持つことで行動を促進させる、一定の強制力も生まれますし、チャレンジした経験から「できる」という自信につながる場合が多いです。

自己理解の向上

自分の思考パターンや行動パターンに客観的に気づくことで、望ましい考えに修正することができます。あるクライアントの方はセッション3回程度を自己理解に使うことで職場の同僚や上司との関係が劇的に変わり、昇進試験に向けて意欲的に取り組むようになられました。

上司・部下との関係改善

上司に対して本音を言えていなかったり、部下に遠慮して適切なフィードバックができていない場合、あるいはご本人が周囲に対して自己開示を積極的にしていない等で周囲と距離感がある場合があります。コーチングセッションを通して相手目線で関係構築に向けたアプローチを変える必要性を感じたり、組織目標達成の観点から望ましい関係性に気づかれる場合があります。このような気づきを通してマネージャーとしての意識も一層育まれるように感じます。

5. まとめ

女性活躍推進は「制度の整備」に加えて、「個人の内面に働きかける」ことが不可欠です。男性もそうですが、女性の仕事に対する考え方やプライベートと仕事の望ましいバランスなど個々によって多様であり、一人一人に向き合うための有効な手段として、コーチングは大きな可能性を秘めています
コーチングを導入することで、自信を持ってキャリアに挑戦できるようになり、周囲に対してより良い働きかけができるようになります。結果として、女性の活躍は組織風土の改善や企業の競争力強化にもつながると考えます。

 

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【本記事の執筆者】
中田 真理子

大学では心理学を学び、三井物産(株)に13年間勤務。国内外の財務業務や石油・ガスのエネルギービジネスを経験。ロシア、イギリスでは多様な国籍・価値観のメンバーと共に働く。

多様化する環境の中で、働く人が自分らしく輝いて仕事をする、人生を送ることによりダイレクトに深く関わりたいと思い、独立。現在は20代の若手から管理職を対象とした研修講師、コーチとして活動中。

自身の経験や心理学のバックグランドを踏まえ、個々人が自分の内面を客観的に振り返り、自分の軸やビジョンを引き出すコーチングに定評がある。

・CTI認定プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ (CPCC)
・全米NLP協会プラクティショナー