1.企業で働く管理職手前の中堅社員について
コーチングをさせていただく中で、管理職手前の30代の方に出会うことがとても多くなってきました。
社会人としての生活が始まり、とにかく一生懸命前に進む20代とは違う。
かといって、管理職などの経験を通じて、ある程度キャリアを積んだ40代とも違う。
30代というのはライフイベントも変化することが多く、
ちょうど自分自身のキャリアの方向性の壁に悩んだり、
管理職になろうか、ならないか、といった瀬戸際にあたる方も少なくありません。
そのような30代の世代の方の悩みで多いのが、「管理職」に対するものです。
管理職になりたいと思っている方も、なりたくないと思っている方も、
少なくとも何かしらの不安を感じている方は多いのではないでしょうか。
JMAM(日本能率協会マネジメントセンター)が行ったインターネットによる管理職の実態に関するアンケート調査(2023年4月)によると、
管理職になりたくない、という理由について
「自分は管理職に向いていないから」
が一番の理由(全体の46.6%)だったようです。
今回、コーチングをさせていただいた方も
同様の理由で管理職になることに対して、自分には適性が低いと不安を感じておられました。
そんな方がコーチングでの60分の時間で劇的に変化した事例をご紹介したいと思います。
2.今後のキャリアを描けなかった管理職手前の中堅社員が変化したコーチング事例
クライアントさん(仮:Aさん、30代半ば)にその時のコーチングで起きたことをお伝えしたいと思います。
その方は、管理職手前のエンジニアの方で
現状の仕事に対してやりがいをあまり感じられておらず、ご自身のキャリアの方向性で悩まれていました。
それだけでなく、管理職試験を終えられた直後でしたが、管理職というものに対してもやりたいとは心から言えないような状況でした。
(1)自分のやりがいを見つけ、キャリアの方向性を見つけられたやり取り
Aさん「今、会社での業務にやりがいを感じられず、自分のエンジニアとしての専門性が失われていると感じている。そういった自分のキャリアの方向性に迷走しているだけでなく、今後、なんとなく管理職方面にキャリアが進み始めているが、自分としては適性が低いのではと思っている。」
私「そう感じていらっしゃるのですね。まず、ご自身のキャリアについてですが、そのように専門性が失われていると感じられたのは、どういった背景があったのでしょうか。」
Aさん「スペシャリストを目指してやってきたが、なんだか周りにもっとすごいスペシャリストがたくさんいて、自分にはその方向性でやっていくことが向いていないような気がした。」
私「なるほど。一方で、Aさんは社会人を始めてからずっと同じ分野のスペシャリストとしてやられてきているわけですよね。振り返ると、どんな場面がスペシャリストとして楽しかった、やりがいを感じた瞬間はどんな時でしたか?」
Aさん「‥振り返ると、黙々と作業、というよりは、常に先にお客さん(クライアント)がいる案件が楽しかった。そうか。スペシャリスト、と一口に言ってもいろんな種類があるのかもしれない。」
私「そうですよね。Aさんはもしかすると、技術領域の職人でやっていかれる、というより、クライアントの課題を解決していくような、クライアント向きのスペシャリストにやりがいを感じられるのかもしれないと思いますが、いかがでしょうか?」
Aさん「そうです。」
このやり取りを振り返ると、
Aさんは最初、ご自身の専門性が失われていると感じておられました。
しかし、過去の経験の振り返りを促させていただいたことで
自分がどういった方向性にやりがいを感じられたのかを思い出し、
それをヒントや自信にされて、キャリアの方向性を見つけることができました。
もしキャリアの方向性で迷走したり悩まれたら…
一度、自分の過去を振り返って、やりがいを感じられたのはどんな瞬間だったのか?
を言語化してみるのがおすすめです。
(2)○○を見つけて管理職への不安を変化させたやり取り
私「次に、なんとなく管理職方面にキャリアが進み始めているが、自分としては適性が低いのではと思っている、ということですよね。具体的にどのような点でしょうか?」
Aさん「事務処理が本当に苦手。あと、マネージャーはすごくバランスが取れているというイメージで…期待に応えられるのか、その辺りも適性があるのか不安に感じている。」
私「なるほど。では、そういった不安を解消するためにはどんなことが必要だと思いますか?」
(Aさん、しばらく考えて)
Aさん「アウトソーシングするか…なんでも相談する人を見つける。かな。」
私「良いですね。そうやって周りのリソースを使って解決していくこと、前向きですね。」
このやり取りを振り返ると、
Aさんは少なくとも管理職になることについて
「自分は管理職に向いていないから」
という理由でネガティブに思っていました。
しかし、何か外部のリソースを見つけることで、管理職への不安を前向きに解決されようとしたのです。
全て自分で抱えて走るのは、管理職として非常に辛いものです。
このように、周りに何かお願いできることはないのか、相談できる人はいないのか、
そうやって周りを巻き込んで不安を解消されるアクションをご自身で考えられ
Aさんが今後の管理職としてのキャリアに前向きに踏み出された気がしました。
3.まとめ 〜自分のやりがいと○○を見つける〜
先ほどのコーチング事例のAさんは最後のセッションで
「今回の60分の短い時間の中で、
自分の専門性の方向性を見つけられ、やりたいことも思いついた。
管理職についても、不安が全て消えたわけではないが、前向きな不安に変化した気がする。」
とおっしゃっておりました。
Aさんと同じように、30代管理職手前の社員の方々は、
①ご自身のキャリアの方向性
②管理職としての方向性
の2種類の悩みを抱えている方も多いのではと思います。
そこで、
①ご自身のキャリアの方向性 → 過去の経験を振り返るなどして、改めてやりがいや自分の強み、自信を発掘する
②管理職としての方向性 → 外部のリソースを見つけて、不安な部分を解消する
そうすることで、少しでもキャリアを前進させることができるのではないでしょうか。
30代、管理職手前の中堅社員は、企業にとっても非常に大事な人材ではないかと思います。
そのような層の方々が、
「自分のやりがいと、外部のリソースを見つける」
ことで、管理職、というものに対する不安を少しでも解消し、
自身のキャリアを前向きに捉えられるきっかけづくりを大事にしていっていただきたい、と考えます。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
このように、キャリアを前向きに捉えるためには、プロコーチと共に自己対話を深めることが、大きなきっかけとなることもあります。
まずは、コーチングがどのようなものか、体験してみてはいかがでしょうか。
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西村 典子
(株)三井住友銀行に10年間勤務。法人営業、経営/海外事業企画、シンガポール駐在を経験、多様なチームで幅広な業務に従事。現在は、士業事務所で管理職として務めながら、社労士として人事・労務領域の観点から企業の組織づくりに携わる。 その傍ら、コーチングを受けキャリアの方向性を見出すことができた自身の経験から、主にキャリア・ビジネスで悩む20-30代、管理職、経営者の方を対象にプロコーチとしてもパラレルに活動中。
大企業・中小企業・海外でのビジネス現場や子育ての経験から、キャリアとライフ両面からクライアントの感情と思考に寄り添い、大事にしている価値観や要点を引き出すことが得意。
・国際コーチング連盟認定コーチ(ACC)
・銀座コーチングスクール(GCS)認定プロフェッショナルコーチ
・社会保険労務士
・ルミナ・スパーク認定プラクティショナー
・国際資格Points of You ® Explorer