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オンライン定例会議を活性化する3つのポイント~カメラオン、アイスブレイク、そしてチャット活用

ルバート代表の松上です。
前回は「チーム全員で成果を作る会議術~ファシリテーターだけに頼らない会議を実現する」と題してファシリテーションを会議参加者で順番に回していく手法についてお伝えしました。実際にチャレンジされた方はいかがだったでしょうか。
今回は進捗報告を目的とした大人数でのオンライン定例会議でのファシリテーションについて書いてみようと思います。

本記事の執筆者
松上 純一郎マツガミ ジュンイチロウ
  • 株式会社Rubato代表取締役
  • 『PowerPoint資料作成プロフェッショナルの大原則』
    『ドリルで学ぶ!人を動かす資料のつくりかた』著者

 

オンライン定例会議の課題

昨今のオンライン会議の普及によって大人数の業績報告などの定例会議についてはオンラインで行うことが増えたと思います。オンラインでの定例会議は、対面での定例会議と比較して、移動の手間が省けることによって工数を削減できるというメリットがあります。

一方で、オンライン定例では参加者同士がその場に集まらないので、参加者の報告が一方的なものになりがちという悩みをよく聞くようになりました。また、多くの参加者が集中して聞いておらず、定例会議が形骸化するというような悩みもよく聞きます。どのようにすれば、オンライン定例会議を形式的なものではなく、参加者が集中する、意味のあるものにできるのでしょうか。ここでは討議を目的とした少人数の定例会議ではなく、主に情報共有や進捗共有を目的とした大人数の定例会議を対象にして考えていきたいと思います。

オンライン定例会議を活性化するポイント

大人数のオンラインの定例会議を活性化するためには、大きく3つのポイントがあると私は考えています。ルバートではこの3つの手法を導入することで月次の定例会議が活発なものになり参加者にとって有意義なものになっているように感じています。一つずつ説明して行きたいと思います。


① 参加者は必ずカメラオンで

会社によっては慣習で参加者がカメラオフで定例会議に参加しているということがあるかもしれません。しかし参加者の顔が見えない中で発言したり、報告したりするということは発表者にとって非常に不安を伴うものです。

また参加者も顔を出さなければその間は耳だけ聞いていればいいというように、注意力が散漫な状態で会議に参加することにつながります。結果として参加者の報告に対する反応が薄く手ごたえのない会議が続くことになります。

Rubatoでは参加者は必ずカメラをオンにするというルールで、上記の状況を防いでいます。顔が見えることで参加者一人一人の集中力が上がりますし、発言する方にとっての安心感がより高まりますし、会議の場がより活性化する効果が期待できます。

ただ人によっては、化粧しなければならない、子供が邪魔をするのでビデオオンにしたくないなどのハードルもあると思いますので、導入する際には充分な議論が必要だと思います。例えば、導入する際にはマスク着用OK、子供が邪魔する場合はビデオオフにしてもOKなど、柔軟に会議に参加できるルールを作ることも大事だと思います。

一つ気を付けるべきなのは、「カメラオン推奨」というルールです。「推奨」とするとほとんどの参加者がカメラをオフにしてしまいますので、カメラオンの浸透にはつながりません。あくまでもカメラオンを前提とした柔軟なルール作りが必要だと思います。

② 会議の冒頭に簡単なアイスブレイクの時間を用意する

大人数での定例会議はアジェンダが決まっているのでついつい形式的な流れになってしまいがちです。そこでRubatoでは会議の冒頭に簡単なアイスブレイクの時間を用意するようにしています。アイスブレイクといっても全員が発言するというのはなかなか難しいので、参加者のうち1~2名に「この一ヶ月の業務で印象に残ったこと」を口頭で共有してもらうという形をとっています。

この時に司会進行役やファシリテーターが話すより、アットランダムに参加者を当てて話してもらうという形式が効果的です。誰が当たるかわからないという緊張感が生まれますし、参加者にとって色々な人の話を聞けるという楽しみもあります。アットランダムに当てることへの参加者の抵抗感を気にする方もいるかもしれませんが、意見を求めるのではなく、「この1か月どうでしたか」という非常にカジュアルな内容ですので、そこまで参加者にとって抵抗感は大きくありません。

③ チャットで感想を記入する

大人数の定例会議の場合、多くの内容が進捗報告や情報共有で、参加者に対して一方的なコミュニケーションとなりがちです。そこで、感想かコメントを一言チャットに記入するルールを設定することでインタラクティブ性を持たせることが可能になります。

ここでポイントは「意見」を求めないということです。意見を求めるとチャットに記入するハードルが非常に上がるので、感想やコメントを求める形にしましょう。感想やコメントは必ず会議の冒頭に「報告について必ず一言、感想でもコメントでもいいのでチャットに記入しましょう」と伝えて、参加者がチャットに記入する準備ができるようにします。

この手法のポイントとして、感想やコメントを記入する時間を会議の途中に必ずとるようにします。時間は2-3分程で構いません。チャットに記入する時間を取らないと、参加者は報告者の内容を聞くことで精一杯になって結局チャットに何も記入されないということが起きてしまいます。ファシリテーターが会議の途中、あるいは最後に「それでは3分とりますので感想やコメントをご記入ください」と伝えてチャットに記入してもらうようにします。

そして記入してもらったチャットを本人の代わりにファシリテーターが代読します。人数が多いので全員分を読むことは難しいと思いますが3-4人程度であれば読み上げることが可能になると思います。その際必ず名前も読み上げるようにします。名前を読み上げることで自分が記入したことを読み上げてもらったという嬉しさにもつながります。

おわりに

いかがだったでしょうか。これら3つのオンライン定例会議のポイントを実践するだけで会議が徐々に活性化されていきます。特にチャットで感想などを記入するというルールは報告した人が参加者からの反応に嬉しくなるという効果があります。チャットによる反応が嬉しくなるとその方は自分もしっかりチャットに書こうと言う行動につながっていきます。その結果、徐々に全員がチャットに積極的に反応するという形になります。

上記の3つのポイントはどれか1つだけ実践しても非常に効果があるものです。ぜひ硬直化している大人数での定例会議を何とかしたいと思われている方には試していただければと思います。

Rubatoでは今回の内容をより実践的にお伝えする公開講座「会議ファシリテーション」を定期的に開催しています。また、個人向けの講座として前編後編の2回に分けて開催しています。もしご興味がある方がいらしたらぜひご参加ください。

 

【本記事の執筆者】
松上 純一郎

同志社大学文学部卒業、神戸大学大学院修了、University of East Anglia修士課程修了。
米国戦略コンサルティングファームのモニターグループで、外資系製薬企業のマーケティング・営業戦略、国内企業の海外進出戦略の策定に従事。その後、NGOに転じ、アライアンス・フォーラム財団にて企業の新興国進出サポート(バングラデシュやアフリカ・ザンビアでのソーラーパネルプロジェクト、栄養食品開発プロジェクト等)や栄養改善プロジェクトに携わる。
現在は株式会社ルバート代表取締役を務める。組織の変革のためにはスキルとwillの両面からサポートすることが必要という考えから、ビジネススキル研修、そしてコーチングのサービスを提供している。