ルバート代表の松上です。前回は生成AIの時代でも人間が議事録を書くことがなぜ重要かについて書きました。今回は生成AIがすぐには代替しにくい会議のファシリテーションについて書いてみたいと思います。
会議が活性化しない悩み
みなさんの参加する会議では活発に発言が生まれるでしょうか。会社によって差があるとは思いますが、私がコンサルタントとして関わった会社では活発に発言が出ず、特定の人が発言をして会議が終わるというケースが非常に多かったように思います。そんな時、会議の運営側は「発言が出ないんですよね…」と困っている様子でした。
そもそもなぜ会議で発言が出ないことは良くないことなのでしょうか。発言が出なくても発表者がきちんと内容を考えて準備してきていれば問題ないようにも思います。私は次の二点から会議で参加者が発言することが重要だと考えます。
①異なった視点からの新たな優れたアイデアや考えが生まれる可能性がある
②会議の参加者が自ら発言することで結論に対してより納得感が醸成される
特に私は二点目の「納得感」が重要だと考えています。会議は情報共有のために開催されることも多いですが、私は物事を「皆で関与し考えた」という納得感を醸成し、物事を前に進める推進力を生み出すことが会議の大きな役割の一つだと考えています。
この「納得感の醸成」という会議の目的からすると、「会議の参加者が発言しない」ということは会議のテーマに対しての「他人事感」を引き起こし、参加者の当事者意識や納得感が下がることにつながると思います。
どうすれば発言してもらえるのか
ではどうすれば会議で発言してもらえるようになるのでしょうか。また、どのようにファシリテーションを行えば良いのでしょうか。私は三つの方法をお勧めしています。
まず一つ目は、「チェックイン」です。会議の冒頭に今の気分や気になっていることを参加者1人ずつ話してもらうという手法です。人は会議で一言話すと、その後が話しやすくなるという傾向があります。そこで会議の冒頭にこのチェックインを行うことで発言が出やすくなる効果が期待できます。
今の気分の共有の代わりに、最近の良いニュースや出来事を共有する「Good&News」もその場の雰囲気がポジティブになるのでおすすめの手法です。
二つ目は「ラウンドロビン法」です。これは会議の最中にテーマや論点について、時間をとって、参加者一人一人が自分の意見やアイデアを手元にメモを書き、そのメモを順番に読み上げてもらう手法です。時間を取ってメモを書くので強制的なアウトプットになること、そしてメモを読み上げて共有するので「自分の意見」という感覚が薄れるという効果があります。時間が限られている時は全員にメモを共有してもらわず、一部の参加者の共有でも構いません。
三つ目は「感想」や「立場からの意見」を発言してもらうという方法です。「意見を聞かせてください」と伝えると人は発言に抵抗感を感じることが多いですが、「感想を聞かせてください」と言われるとある意味気楽に発言できます。また、「現場に近い立場から、付け加えることはありませんか?」などと伝えると「個人」より「立場」がフォーカスされるため、発言しやすい傾向があります。特定の人の発言が必要な時はこのような方法で発言を促すことが有効です。
おわりに
いかがだったでしょうか。私はこの三つの手法を実践するだけで会議が活性化する様子を今までたくさん見てきました。会議で発言する人が増えるだけで、決定事項や結論への納得感が高まることは間違いないと思います。また、納得感が高まることでアクションの推進力が高まることも期待できます。ぜひ一度ここでご紹介した内容を試してもらえればと思います。
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