ルバート代表の松上です。今回は生成AIなどの普及で人がやらなくても良い業務の一つに挙げられている議事録について書いてみたいと思います。
議事録は生成AIに任せれば良い!?
みなさんは議事録に対してどのようなイメージを持っているでしょうか。「面倒くさい」「時間がかかる」「本当に必要なのかわからない」などネガティブなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
また、現在は精度の高い文字起こしツールがあり、生成AIを使えば内容を議事録の形に要約することも可能です。もはや人が行う必要がないものと考える人も多くなってきているのではないでしょうか。
私も生成AIなどを活用して、手間をかけず効率的に議事録を残すことは大変大事だと思っています。一方で、人材育成的観点から、若手に議事録を担わせることはとても大事だと思っています。
議事録の人材育成への活かし方
コンサルティングの業界では若手に議事録を取らせることは育成の一つとして位置付けられています。私もお客様へのヒアリングでは議事録を担当し、先輩方にたくさん赤ペンを入れられていました。
なぜ人材育成的観点から議事録が取ることが重要なのでしょうか。四つの観点から議事録の有効性を説明します。
① わかっていないことがわかる
議事録を書いたことがある方ならわかると思いますが、自分が理解できない内容の議事録をとることは非常に難しいです。議事録は通常は発言を要約して書いていきますので、議事録を書く人の頭の中では、発言の内容理解→ポイントの要約→議事として記入というプロセスが行われます。しかし発言の内容の理解ができないとそもそも要約ができず、議事録を書けません。
漫然と聞いているとわかったつもりになることでも議事録を取ることで自分がわかっていない部分がわかり、そこの強化を意識することができるようになるのです。
② 重要度がわかる
会議では「決まったこと」、「次のアクション」が最も大事です。しかし、漫然と話を聞いていると決まったことや次のアクションを逃してしまうことがよくあります。議事録では、「決まったこと」や「次のアクション」を必ず書くことになるため、会議の要点を掴む訓練になります。
③ 内容を理解するスピードがあがる
先ほども書いたように議事録を書く人の頭の中では、発言の内容理解→ポイントの要約→議事として記入というプロセスが行われており、かなりの負荷がかかっています。この負荷をかけるということが大変重要で、議事録を書くことで発言の内容理解のスピードが上がるようになります。筋トレのようなイメージを持っていただければと思います。議事録を書くことが50kgのバーベルを上げることであれば、議事録を書かずに通常の会議の参加者になった時は30kgのバーベルを上げているような感覚になります。そうすると残りの20kgの余裕分で自分の考えをまとめたり、発言することが可能になります。
④ 情報の構造化力が上がる
大事な会議の議事録の場合は、発言をトピック毎に整理し、構造化するという編集作業が発生します。これも頭のトレーニングになります。議事録で情報の構造化力がアップすると、普段の会議の中で、参加者の発言を「これはこのトピックだな」とか「これは事実ではなくて解釈」だなという風に整理して聞けるようになってきます。
ここまで議事録のスキルアップへの効果を書いてきましたがいかがでしょうか。若手育成に議事録が有効なことを少しは感じていただけたでしょうか。
おわりに
「では、明日から議事録を若手に書かせよう!」と思われた方に一点注意をお願いしたいのは、レビューをしていただきたいということです。特に上に挙げた①のわかっていないことがわかる、②の重要度がわかる、は他者からの指摘があるからこそ本人が気付けるものです。ぜひ、「決まったこと」と「次のアクション」だけでも良いのでチェックをしていただければと思います。
ルバートでは人材育成的観点からの議事録研修を提供しています。もしご興味がある方がいらしたらぜひお問合せください。