1on1ミーティングで取り上げるべきテーマ5選
ここでは、効果的なコミュニケーションを促し部下の成長を支援するために特に役立つ5つのテーマを紹介します。これらのテーマは、具体的な業務の進捗からキャリア開発、ワークライフバランスまで、1on1ミーティングを充実させることができます。
①仕事と組織の課題:
部下が抱えている職場の問題について、オープンな気持ちで話を聞きましょう。具体的な問題を一つ一つ洗い出し、それに対する解決策を一緒に考えていくことが重要です。問題をクリアにすることで、部下は職場でより快適に、そして効率的に仕事ができるようになります。
②現在のプロジェクトの進捗状況:
部下が取り組んでいるプロジェクトを一緒に見直しましょう。何が上手くいっていて、どんな問題に直面しているかを具体的に確認します。リソースが足りていない部分や、もっとサポートが必要な点があれば、その場で解決策を話し合いましょう。的確なアドバイスと具体的な行動計画で、プロジェクトを次の段階へと進める手助けをします。
③アイデアや企画の支援:
部下の新しいアイデアや企画の提案に耳を傾け、、それを具体化するための全面的なサポートをしましょう。一緒にアイデアが実務でどのように機能するかを詳しく検証し、必要なリソースを確保します。部下が自分の考えを形にする過程を支えることで、彼らのモチベーションを大いに高め、チーム全体の業務改善やイノベーションを促進することができます。
④ワークライフバランス:
部下が仕事とプライベートのバランスをどう保つかについて話し合います。業務のプレッシャーがプライベートにどのような影響を与えているかを確認し、ストレス管理のコツを提案します。適切なバランスを保つことが、部下の全体的な幸福感と生産性に直接影響します。
⑤キャリアパス:
部下のキャリアについてじっくりと時間をかけて話し合います。彼らが目指す将来像や今のスキルレベルを把握し、どうすれば目標を達成できるかを一緒に考えます。具体的な計画を立てることで、部下自身も自分のキャリアに対するモチベーションと明確な方向性を見つけることができます。
これらのテーマを話題にすることで、実際に1on1が部下の業務やキャリアで役立つものとなり、彼らの仕事へのモチベーションを高め、成長を促すことができます。それにより、組織全体の生産性や満足度を一層高めることができるでしょう。
1on1ミーティングで話すことがない時の対処法
テーマに沿って話していても、なかなか話が続かないということもあるでしょう。
1on1ミーティングで話すことが無くなってしまった場合、どう対処すれば良いのでしょうか?沈黙を恐れず、コミュニケーションを活性化する具体的な手法をご紹介します。部下の関心事に耳を傾ける質問の仕方、共通の興味を探るコツ、以前のミーティング内容の有効なフォローアップ方法など、知っておくべきポイントを解説します。
過去のミーティングを振り返る:
定期的な1on1ミーティングでは、前回の会話内容に基づいて進捗を確認することが重要です。これは、部下の取り組みを認め、適切なフィードバックを提供する良い機会です。たとえば、「前回の目標に対してどの程度進んだか」「そのプロセスで感じたことや学んだことは何か」などを問うことで、部下の成長を促し、さらなる話題へとつなげることができます。
共通の話題を探る:
人間関係を築く上で共通の話題を持つことが、大きな役割を果たします。部下の趣味や関心がある事柄に触れ、それに関連する話題で会話してみてはいかがでしょうか。たとえば、最近のニュースやテレビ番組、読んだ本などから話題を引き出し、お互いの意見や考えを共有することで、自然と会話が生まれ、親密さが増します。
関心を持って質問する:
1on1ミーティングでは、上司が部下の関心や進行中のプロジェクトについて具体的に質問することで、対話が弾みます。部下が最近取り組んでいる新しい挑戦やプロジェクトで得た知見、興味のある分野や将来伸ばしたいスキルについて積極的に尋ねることが大切です。「最近のプロジェクトで楽しいと感じた業務は?」「将来どのようなキャリアを進みたい?」「なぜそう思ったの?」といった質問は、部下のモチベーションを理解し、その支援を計画する基盤となります。
目標に焦点を当てる:
マネージャーとして部下のキャリア目標や短期的な業務目標に焦点を当てることは、1on1ミーティングの核心をなす要素です。具体的な目標設定を通じて、部下が自身のキャリアパスにどのように取り組むべきかを検討し、その過程で必要なスキルや経験を議論することが可能です。このアプローチにより、部下は自己実現への道筋を明確にし、モチベーションの向上が期待できます。
1on1ミーティングを活性化させる質問例
信頼関係を築くための質問:
信頼関係の構築ができていると、1on1ミーティングでの会話ががスムーズになり活性化します。この目的を達成するために、「最近ストレスを感じることは何ですか?」や「この仕事をする上で何が一番楽しいですか?」といった個人的な感情や意見を引き出す質問が有効です。これにより、部下はマネージャーが自分の個人的な感情や職業的な情熱に関心を持っていると感じ、より開かれた関係が築けます。
悩みを引き出す質問:
1on1ミーティングで部下の潜在的な悩みを引き出すためには、彼らの現在のスキルと将来のキャリア目標に関連する質問が効果的です。例えば、「どのスキルを伸ばすことで、あなたのキャリア目標達成に近づけると思いますか?」や「現在のプロジェクトで新たに学んでみたいことはありますか?」といった質問をすることで、部下自身も自己の成長に必要な分野を考える良い機会となります。
目標達成に向けた質問:
目標達成を促進するためには、具体的な計画を共に立てることが重要です。質問としては、「次の評価期間までに達成したい具体的な目標は何ですか?」や「これらの目標を達成するためにどのようなリソースが必要だと感じますか?」といった形で、部下自身に計画の詳細を考えさせることができます。これにより、部下は自身の目標に対するコミットメントを再確認し、達成に向けて具体的な行動を起こしやすくなります。
1on1ミーティングの効果を最大限に引き出すためには
1on1ミーティングの効果を最大限に引き出すためには、準備とフォローアップ、そして適切なタイミングでの実施が必要です。1on1ミーティングについての準備が整っていれば、部下にもそれが伝わり、積極的に1on1ミーティングをしてくれるようになるでしょう。
効果的な1on1ミーティングの頻度とタイミング:
1on1ミーティングの頻度は職務の性質に応じて変わるため、通常は月に一度が一般的だと思います。ただ、ルバートでは20分や30分など短くても良いので、2週に1度、できれば週に1度の1on1ミーティングをおすすめしています。コミュニケーション頻度を高めることで、仕事への安心感や心理的安全性を高めることができるからです。また、頻度高く実施することで、部下の支援を提供しやすくなります。
1on1ミーティングの準備:
1on1ミーティングでは、ミーティングの前に具体的なアジェンダを設定します。部下の最近のパフォーマンスレポートや以前のミーティングのメモをレビューし、テーマを設定しておきましょう。ミーティング中は時間を意識しながら効率的に進行することが重要です。また、部下が話しやすい環境を整えることで、より開かれたコミュニケーションが促されます。
フォローアップ:
ミーティング後のフォローアップとしては、話し合われたアクションリストを可視化し、次回のミーティングでその進捗を確認できるように認識を合わせます。
まとめ
1on1ミーティングは、部下との信頼関係を深め、その成長をサポートするために非常に有効な機会です。各テーマに基づいた話題と質問をしっかり準備することで、1on1ミーティングの質を向上させることができます。それぞれのミーティングを有意義にするために、これらのポイントを活用してみてください。
松上 純一郎
同志社大学文学部卒業、神戸大学大学院修了、University of East Anglia修士課程修了。
米国戦略コンサルティングファームのモニターグループで、外資系製薬企業のマーケティング・営業戦略、国内企業の海外進出戦略の策定に従事。その後、NGOに転じ、アライアンス・フォーラム財団にて企業の新興国進出サポート(バングラデシュやアフリカ・ザンビアでのソーラーパネルプロジェクト、栄養食品開発プロジェクト等)や栄養改善プロジェクトに携わる。
現在は株式会社ルバート代表取締役を務める。組織の変革のためにはスキルとwillの両面からサポートすることが必要という考えから、ビジネススキル研修、そしてコーチングのサービスを提供している。