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会議参加者を置き去りにしない工夫~あなたのことを忘れていないよ

ルバート代表の松上です。過去2回はアフリカでの話を書きましたが、少しお休みして、久しぶりにビジネススキルについて書きたいと思います。今回はデリバリー(プレゼンテーション)のスキルについてです。

 

資料のターゲットはできるだけ1人に絞る

私が研修などで資料作成を教える時には、資料のターゲットは1人に絞るように伝えています。意思決定者が複数いる場合でも最大3人までに絞ることをお勧めしています。

資料のターゲットが4名以上存在すると、その複数の人達の興味・関心に合わせて、「このデータも入れた方が良い」、「これも記載した方がよい」とどんどん資料の焦点がぼやけていき、結果的にインパクトのない、「人を動かさない」資料になってしまうからです。このような理由で基本的には資料のターゲットは絞ることが有効です。

しかし、実際に会議や打ち合わせで資料を発表する時には意思決定者以外の人達も同席しています。その人達の興味や関心を無視して説明を進めてしまうとその人達を置き去りにしてしまい、場の雰囲気が盛り下がってしまう可能性があります。

もしかするとその人達のネガティブな発言で意思決定者の気持ちが揺らいでしまう可能性もあります。では、どうすれば意思決定者以外の人達の置き去り感を避けられるのでしょうか。

 

意思決定者以外を置き去りにしないためのデリバリーの工夫

意思決定者以外の人達を置き去りにしないための工夫には二つあると考えています。

まず一つ目は意思決定者以外の人達の譲れない考えやこだわりを把握して、資料に一部盛り込むという方法です。もちろん本来の目的に影響を及ぼさない範囲になります。例えば、「今までの自社の取組みを踏まえて提案してほしい」というような顧客の担当者の強い要望がある場合は、「今までの貴社の取組み」という形で数行の箇条書きで資料に盛り込むような形です。これがあるだけで、顧客の担当者は自分がやってきたことを認めてもらった気持ちになります。

二つ目は資料の説明の際に参加者の関心のあることを口頭で伝えるという方法です。資料に盛り込む方法ではどうしても盛り込める情報に限界がありますが、口頭でならば制約はそれほどありません。「〇〇について気になる方がいらっしゃると思います。こちら資料には載せておりませんが、△△となっております」とか「ボリュームの都合で割愛しましたが、〇〇となっております」という形で伝えます。

これらの工夫をするだけで、より参加者に目の行き届いた、きめ細やかな丁寧なコミュニケーションになります。大事なのは「あなたのことを忘れていないよ」というメッセージを出すということなのです。

 

セミナーで様々な立場の方をカバーする

口頭で追加で伝える方法は、大人数を対象とした説明やセミナーでも大変有効です。大人数を相手に説明する場合、そのテーマについて詳しい人、そうでない人、モチベーションが低い人、様々な方が混じっています。

その多様な層に対してある一定のレベルの方を想定して画一的に話してしまうと、「難しすぎる」「簡単すぎる」などという形でモヤモヤが聞き手に溜まってしまいます。そこであえて多様なレベルの方に言及して、その人達の気持ちを代弁するのです。

例えばこのようなイメージです。
「これは詳しい方にとっては簡単すぎるかもしれません」
「この内容は難しいと感じる人がいるかもしれません」
「あまりやる気が出ないと感じている人もいるかもしれません」

これらを説明の途中に少し入れるだけで、言及した方が「自分のことを気にしてくれているのだな」と安心するのです。ポイントは先ほどお伝えした通り「あなたのことを忘れていないよ」というメッセージなのです。

 

終わりに

今回はその場にいる人を置き去りにしないコミュニケーションのコツをお伝えしました。ルバートではこのようなデリバリーのスキルを研修でお伝えしていますが、受講生の方から「この方法を早く知っていればもっとうまく伝えられたのに」というコメントをよくいただきます。

その場にいる人達を置き去りにしたくないという気持ちはあっても、その方法を知らなければ実践することはできません。スキルが全てではありませんが、スキルの重要性をいつも感じさせられます。