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資料は未完成で会議に臨む

ルバート代表の松上です。今年も残りわずかになりました。このブログでは今年も会議は最初の5分で決まる」(2022年6月)、「資料作成はマネジメントスキルを高める」(2022年8月)など様々なビジネスコアスキルのポイントをお伝えしてきました。今回は今年最後ということで、会議における資料活用についてお届けしたいと思います。

会議に向けて資料作成をしていると、完璧に仕上げて臨まなければと思うことも多いと思います。もちろん資料を仕上げることは重要なのですが、敢えて資料を「未完成」の状態で会議に臨んだ方が効果的な場合があります。

 

結論まで完成された資料の弊害

しっかり仕上げられた資料というのは非常にわかりやすいですし、聞き手としては「しっかりと取り組んだな」という印象を持ちます。しかし、チームで共に取り組むようなテーマの場合はこの作りこまれた資料が悪い方向に働くことがあります

結論まで完成された資料の場合、「we感」、つまり、「皆で作り上げている感じ」がせず、他人事に感じられる傾向があります。この「他人事感」が結果として仕事を良くない方向に導くということがよくあります。

これはコンサルティングの現場でよく見られます。クライアントに対して、完璧に仕上げられた資料を一方的にプレゼンすると、クライアントは良く練り上げられた内容に驚く一方で、「課題の自分事感」が薄れていくことがよくあります。結果としてクライアントがアクションを起こすモチベーションが低くなることがあります。

 

資料を会議で作る

一方で、資料の一部をあえて意見を聞く形にしておく、その会議の中で意思決定を皆で行う、皆で最後にアクションを決めるなどの「参加型」の資料にしておくと、皆で資料を共に完成している感覚が生まれ、「we感」が生まれ、出席者が主体的に参画している感覚が生まれます。

この手法では、「皆に考えてもらおう」と無責任に作るのではなく、全体の会議の流れをしっかりと設計して、必要な部分に出席者に参加してもらうという形をとることがポイントです。いくつか工夫をお伝えすると以下の通りです。

①予め選択肢を用意しておき、その場で意思決定する
選択肢を出すところから意見を聞くと膨大な時間がかかります。一方で、予め選択肢を用意しておくと、比較的限られた時間でも意思決定が容易になります。ただこの場合、必ず参加者に他の選択肢の可能性を聞くこと、意思決定の方法を予め決めておくことが重要になります。

②問いかけを決めておく
何か意見をもらいたい時はどのようなことを考えて欲しいか具体的に「問いかけ」を決めておきます。そして会議資料にその問いかけまで書いておきます。ポイントとして、その場でまとめるのは難易度が高いので、意見を集めたらその場では整理せず、次回のミーティングまでに整理して共有して、方針を決める形が良いと思います。

③自分の考えを必ず示す
この参加型の方法で気をつけないといけないのは、必ず資料作成者が自分の意志を示すということです。選択肢を用意しておいても、「自分のおすすめはこれです。」、問いかけを作るにしても、「自分はこう思っています。」という考えを示しましょう。この意志がないと、参加者からすると、「この人は何も考えていないのだな、自分の意見がなくて決めてもらいたいだけなのだな」と思われて、結果的に仕事の進行に悪影響を与えることがあるからです。

 

最後に

いかがだったでしょうか。あえて資料にブランクを作って出席者に共に資料を完成させていくことのポイントを掴めたでしょうか。ルバートではこのノウハウを「会議ファシリテーション」スキルとして、研修を提供しています。具体的な資料のつくり方などにもしご興味あれば、無料体験セミナー(https://www.rubato.co/course/hojin_seminar)を定期的に開催しておりますので、一度ご参加いただければと思います。