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資料に目的がない???

ルバート代表の松上です。ルバートでは研修のフォローアップとして、資料作成や会議などに1on1で講師がフィードバックするプログラムを提供しています。そのプログラムの中で受講生の共通の課題としていつも挙がるのが、「資料や会議に目的がない」問題です。

資料で最も大事なこと=目的

私達は資料にフィードバックする時には構成や表現など様々な部分に対して指摘をしていきます。そのフィードバックの中で最も大事だと我々が考えているのが、「目的の確認」です。

資料を作ってコミュニケーションする以上、現状を何らかの状態に変化させることが目的としてあるはずです。会議も同じです。会議を行う以上、会議を通して何か変化させることが目的にあるはずです。

よって、我々は「資料の目的は何ですか」と問いかけることが多くなります。目的が明確になれば、資料の構成や内容や表現を目的に応じて変えていけばよいからです。「目的」は資料を改善するための「羅針盤」と言ってもよいかもしれません。

しかし個別フィードバックプログラムを行っていると、「目的は情報共有です」、「目的はテーマについての討議です」という答えを頂くことがよくあります。我々からすると「情報共有」や「討議」は手段なのですが、これを理解してもらうことに苦労することがよくあります。

目的は「資料の読み手が〇〇な状態から△△の状態になり、□□のアクションをとる」という形で定義されるべきですが、このような目的を聞くことはほとんどありません。

背景には色々な要素があると思うのですが、一つにはそもそも目的が明確になっていないということがあると思います。「資料を作っておいて」という指示は多いと思いますが、「〇〇さんに△△のアクションをしてほしいから資料を作って」という指示はあまり聞いたことがありません。

ただ、目的が不明確な業務はとにかく生産性が下がりがちです。解くべき問題を与えられていない状態で答えを出せと言われていることと同じだからです。私はこの目的がない資料作りは日本経済の生産性を下げる大きな要素の一つとまで感じています。

目的を見失わないために

では、どうすれば資料や会議の目的を見失わず、明確にすることができるのでしょうか?私が実践しているのは、週次の定例mtgの冒頭で5分間必ず年間目標・四半期目標・月次のアクションプランを伝えるということです。

そもそも組織や部署やプロジェクトがどの方向に向かっているかが明確になっていない状態では、個人のレベルで目の前の業務がどういう位置づけかを理解することができません。まずは大きな羅針盤を示して、その上で皆の業務の羅針盤をあわせてもらうという形かと思います。

一方で、私は社長ですのでそのようなことができますが、一般社員の方だと難しいと思われるかもしれません。実際には上司も目的が明確でない場合もよくあると思います。

その時にはぜひ「私はこういう目的だと思うのですが、〇〇さんのお考えを聞かせてもらえますか?」と投げかけてみてください。ここでのポイントは「目的を教えてください。そうじゃないと資料が作れないのです。」のように相手に委ねるのではなく、自分も考えた上で提案するということです。

仕事はギブアンドテイクだと思います。何かを得るためにはまず自分がギブすることだと思いますし、その「ギブするために考える」という行為が仕事に主体性をもたらし、推進力を持たせるのだと思います。

自身の生産性を高めるために、「目的を投げかけてみる」、これにチャレンジするのはいかがでしょうか。もしかすると仕事をガラッと変えることができるかもしれません。