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「たたき台」の威力~効率的な打ち合わせのために~

みなさんこんにちは。ルバート代表の松上です。最近本ブログではポータブルスキルについて書いています。前々回は論理思考(ロジカルシンキング)について、そして前回は質問力に焦点を当ててみました。今回もポータブルスキルの一つである「たたき台作成力」について書いてみたいと思います。

私は会議や打ち合わせを効率的に進めるために重要なことは三つあると思っています。一つ目は「打ち合わせの目的を定めること」、二つ目は「目的に基づいたアジェンダを準備すること」、そして三つ目が「アジェンダを基にたたき台を用意すること」です。この三つが揃えば話し合いが漂流することはほぼないと思っています。

打ち合わせの目的とアジェンダの準備の重要性は議論の余地がないと思いますが、「たたき台」の準備にピンとこない方もいるかもしれません。たたき台というのは、打ち合わせを始める際に討議の土台にする、その時点での「仮の案」、つまり「ドラフト」のことです。

例えば、これから商品プロモーションについて討議するという時には、商品プロモーションの目的、期間、方法、必要なリソースなどを仮の案として示したものが「たたき台」になるかと思います。

私はこのたたき台の重要性をコンサルタントとして働く中で感じるようになりました。コンサルタントの仕事術には業務を効率的に進めるためのたくさんのテクニックが埋め込まれているのですが、その一つが「たたき台」でした。コンサルタントはとにかくたたき台を準備するのです。

顧客への提案活動では必ず「現時点での課題仮説と解決案」を示しますし、プロジェクトでも最初に「プロジェクトの目的と課題と解決の方向性」の土台をプロジェクトリーダーが準備します。驚いたのは、社内の懇親会の打ち合わせでさえ、皆がたたき台を持ってきたことでした。

コンサルティング会社では、まずはフリーディスカッションをしようとか、まずは集まってブレストしようという打ち合わせが実は非常に少ないのです。つまり、コンサルタントは手ぶらで打ち合わせを始めるということをできるだけ避けるようにしているのです。これはたたき台があることにより議論がより深く、スピーディに進むということを経験的に知っているからだと思います。

たたき台があると、まずはその案に対して皆が自身の考えを述べるので論点が明確になります。また、不足している情報があれば追加することが可能です。そこにたたき台があることで議論がそのたたき台を中心に回りだすのです。もしたたき台がない場合はそれぞれが気になるポイントをバラバラに話し始めるので、よほど優秀なファシリテーターがいない限りは、議論が短時間でまとまることはほぼないと考えて良いと思います。


 

ただ、多くの人はたたき台を作りたがりません。それには二つの理由があります。まず一つ目は「労力がかかること」です。ゼロから形にする必要があるので、色々な側面からトピックを考える必要があり、思考力も問われます。二つ目は「他の人の意見への不安」です。たたき台はあくまでも皆で議論するためのベースですが、そのたたき台に対して何も作っていない他の人が色々と意見を言うのは作成した本人としては気持ちの良いものではないこともあります。

上記のマイナス面を打破して、たたき台を活用した打ち合わせを活発にするためには、組織としての文化を育む必要があります。それは、どんなに不十分な内容でもたたき台を作った人を賞賛する文化です。打ち合わせを効率化するために多大な労力をかけて考え抜いた人が賞賛されないと誰もそれを買って出ることはありません。

実はたたき台を作ることは思考力を鍛える効果もあるので若手の育成にはうってつけの業務でもあります。ぜひこの「たたき台」文化を社内で醸成していただければと思います。

たたき台作りには資料作成能力が不可欠です。5月12日(木)に資料作成研修の人材育成担当者向けの体験セミナーを開催予定ですので、ぜひご興味ある方はこの機会にご参加いただき、たたき台を作るベーススキルを身に着けていただければと思います。お申込みはこちらからです。