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論理思考はテンプレートで決まる

ルバート代表の松上です。7月になり、人事部の皆さまは新入社員の研修などひと段落付きつつあるところではないでしょうか。一方で、各部門では新入社員の受け入れでお忙しくされている方もいらっしゃるかもしれません。

さて、若手社員から報告を受ける際に「もっと論理的に考えられないかな」とか「根拠や事例もセットで伝えて欲しいのだけどな」と思うことはありませんか。ルバートはドキュメントコミュニケーションという領域を研修で扱っていることから、この手のご相談を受けることが多くあります。

ただ、この問題の難しさは、「人の思考はコントロールできない」というところにあります。相手の思考は目に見えないものですので、その思考プロセスに介入するのは不可能なのです。よく、「ロジカルシンキングの研修を社員に受けさせたけど、社員が全く論理的にならない」というお悩みを聞きます。思考が当人にしかコントロールできない以上、論理的に考えるか否かは個人任せになるため、論理思考を定着させるのは至難の業なのです。

では、どうすれば良いのでしょうか。答えは「資料のテンプレートを決めて論理思考をせざるを得なくする」ということです。

例えば、新入社員に日報を書かせる企業は多いと思いますが、その日報でその日の振り返りだけを書かせるのではなく、日報テンプレートに「課題に感じたこと」「その根拠」の欄を加えれば、立派に主張と根拠という論理構造になります。また、「解決の方向性」「その具体案」を加えれば、抽象と具体という論理の訓練になります。

人はテンプレートがあると「その欄を埋めなければならない」という意識を強く持ちます。そこでそのテンプレート自体を論理思考の流れにしてしまえば、相手は論理思考をせざる得なくなるわけです。

この事例は色々な場面で使えます。例えば、経営会議の事務局を経営企画室が担当する場合に、各部門に事前にテンプレートを配布する(この場合は背景・課題・解決策・効果のスライドテンプレートのようなイメージです)、営業会議での営業所長の発表にテンプレートを導入する、などです。こうすることで、いきなり根拠なしに「来期のアクションプラン」が出てくるような資料や計画を防ぐことが可能になります。

もちろん論理の流れだけでなく、テンプレートを埋めたサンプル資料を作成して、粒度を合わせるなどの工夫もあるとより良いものになると思います。実際にルバートでは研修というよりコンサルティングという形でこのテンプレート作りを支援したことが何度もあり、その度にメンバーの思考の変化に大きな成果を感じてきました。

社員の論理思考に課題感を感じている皆さま、ぜひ共通のテンプレートを作ることを検討されてはいかがでしょうか。