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スキルをオープンにしてレベルアップする~オープン・シェア革命

ルバート代表の松上です。4月14日のNHKクローズアップ現代+で「オープン・シェア革命」のことが取り上げられていました。「オープン・シェア革命」とは、アスリートのスキルやデータなどをオープンにすることで、業界や組織内のレベルアップが図れるということを意味するようです。

 

メジャーリーガーのダルビッシュ有投手が自身の変化球の投げ方を公開し、解説することでレベルアップを遂げたことや、青山学院大学陸上競技部がトレーニング方法を書籍化し、駅伝全体のレベルがアップしたことが事例として紹介されていました。

 

Rubatoでは「周りに共有することで自身がレベルアップする」と考え、「スキルは積極的に周りに教えてあげてください」といつも伝えていますので、番組の内容には納得するところがありました。

 

ただ番組の中で、青山学院大学の原監督が「トレーニング方法を公開したことで業界全体がレベルアップした。公開しなかったから、うちはもっと勝てていたかもしれない」と言っていたのですが、私はそうではないと思いました。私は「トレーニングを公開したから青山学院の陸上競技部はより強くなった」と思ったのです。

 

Rubatoでは毎月、資料作成キャンプという実践型の講座を開催しています。ニュース記事を制限時間内に受講生がスライド化し、それに対して7名の講師陣が個別にフィードバックするという内容です。また、講師陣は受講生と同じ時間内で問題に取り組み、最後に講師のスライドが作成例として示されます。

 

このトレーニングでは受講生は講師からのフィードバックを得られたり、講師の解答例が示されますので、何度か受けるとメキメキとレベルアップしていきます。しかし、最もレベルアップするのが誰かというと、実は、講師なのです。

 

これがなぜかというと、講師陣は自分のスキルを受講生に伝えるべく、全力でフィードバックをするのですが、その際にスキルを全て言語化して伝える必要があるのです。そして、自身の作成するスライドも受講生に言語化して説明するということを前提にして作っています。講師陣はスキルを言語化することでそのスキルを客観的に認識することができ、より適切にそのスキルを使用できるようになる、そんなレベルアップの循環があるのです。

 

そういった意味で、先ほどの青山学院大学の原監督の「トレーニングを公開しなかったから、うちはもっと勝てていたかもしれない」というのはおそらくそうではなく、トレーニングを公開したから、青山学院大学は自分たちのノウハウを言語化し、理解し、更に強くなったと私は思います。原監督ほどの人物が上記のことを理解していないはずはないので、陸上業界への自身の貢献のアピールのために、半ば確信犯的に上記のことを言っていたのではないかと推測します。

 

では、誰もがスキルを言語化すればレベルアップするではないか、と思われるかもしれません。しかし、言語化というのは簡単なことではありません。適切な言語化には、スキルを理解する力、それを表現する語彙力、適切な言葉を選ぶ力、などが必要になります。これは大変な労力ですし、鍛えないと身につかないスキルです。Rubatoの講師陣は資料作成のノウハウをnoteに連載していますが、完成した記事自体はシンプルでも、それに至るプロセスではいつも胃が痛くなる思いをしながら言語化に取り組み、記事を書いています(https://note.com/rubato)。

 

このオープン・シェア革命の流れは今後ますます大きくなっていくと思います。この流れの中で情報を受け取る側でなく、提供する側になれば、より自身のレベルがアップし、差が開くことになると思います。デジタルの時代の一つの強みの作り方のポイントがここに隠されているように思います。仕事でも趣味でも構いません、自身のスキルや情報を言語化し、オープン・シェアすることに挑戦してみませんか?