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リモートワークでの人材育成の壁~新たな業務をどのようにトレーニングするか

ルバート代表の松上です。新型コロナウイルス感染症の流行も相まって、リモートワークへの取り組みは企業に共通する課題となりました。リモートワークの導入には様々な課題が挙げられてきました。コンプライアンス、セキュリティ、労務...ただ、比較的短期的な課題が多かったように思います。その中で最近リモートワークの中長期的な影響についての問題意識が挙げられるようになってきました。その一つが、「人材育成」です。
 

人材育成の中でも大きな課題として挙げられるのが、「新入社員」「異動者」「転職者」のトレーニングです。つまり、新たに仕事を覚えなければならない人達にリモートワークの状況下で、どのように仕事を覚えてもらうか、ということです。
 

従来はOJTで伝えられていたことがリモートワークでは気軽に聞けないがために業務の伝承が大変非効率になっている、というのが共通の悩みです。また、言語化できることは伝えられても言語化しにくいことや細かいポイントが仕事にはあり、そこが伝えきれないという悩みです。
 

私自身のことを振り返ると、まさにOJTの極みのような形で仕事の仕方を学びました。私がコンサル一年目の最初のプロジェクトの時、プロジェクトリーダーと二人のチームで仕事を進めていました。するとリーダーから、「午後イチから夜までまるまる会議室予約しておいて」と言われて、二人で会議室にこもって仕事をさせられました。
 

そこで具体的に何が行われたかというと、リーダーが時々私の画面を覗き込んで、「エクセルのその操作は遅いやり方だから、こっちの方がいいよ」とか「この数字を統合して、合計作ってくれる?」とか細かいレベルでのそのリーダーの業務のコツを教えてもらったのです。
 

まさにOJTの極みですが、こうやって通常は他の人からは見えない作業まで指導されることによって私は業務の仕方をスピーディーに学ぶことができたのです。(コンサル特有なのですが、新人を早く育てて戦力化しないとリーダーの業務が増大して破綻してしまうので、リーダーも育成に必死なのです。)
 

上記の例は極端な例ですが、こういったことがリモートワークでは当然不可能です。では、どうするか。これには大きく二つのアプローチがあると思います。一つは業務をなんとか言語化して、研修やマニュアルなどの方法でOFF JTで教えるアプローチ。そしてもう一つはトレーニング期間についてはリモートワークではなく、集中的に対面での業務でOJTを行うという形です。
 

ただ、どちらにも欠点があります。研修やマニュアルでのOFF JTの場合、それでもやはり言語化しにくい内容はカバーしにくいところがあります。また対面でのOJTについては時間がかかるというところがあります。
 

そこで、ルバートでは上記のハイブリッド型でのトレーニングを行っています。業務をマニュアル化してリモートでOFF JTで伝えた上で、対面のOJTを行うという形です。こうすると、言語化された業務についてはマニュアルで全体像が掴め、そこでカバーしきれない業務はOJTで気軽にどんどん聞けるという形で相乗効果を発揮するのです。
 

業務全般に関係する言語化しにくいビジネス・コア・スキル、つまり、論理的に考え、表現し、伝えて、人を動かすスキルの習得についても同じことが言えると思います。いきなりOJTに入るのではなく、コンサルティング会社が行うように、課題図書を与えてベースを学ぶとか、一斉に研修を行って概念を理解してもらってから、対面OJTをうまく組み合わせると効果がより発揮される傾向があります。
 

今までも上記のようにOFF JTとOJTの組み合わせの効用については広く議論されてきたかと思いますが、リモートワークが広がるにつれて、より細かい具体的な業務におけるOFF JTの重要性が高まり、効率的なOJTが求められているように感じています。細かい業務の言語化というのは大変面倒なことなのですが、この取り組みがスムーズに導入されると、人材育成というのは飛躍的に効率化され、人材がスピーディにレベルアップするのではないかと思います。