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あえて「立ち止まる」ことの大事さ

ルバート代表の松上です。皆さんは、「ラリー」という車のスポーツをご存じでしょうか。2名が同乗して、1名がドライバー、もう1名がナビゲーターという役割を担います。ナビゲーターはドライバーに対してスピードや先の道順を伝えるのが仕事です。一方でドライバーはひたすら運転に集中します。全く異なる役割ですが、この二人がいるからこそ、車はすごいスピードで正しい道順をギリギリで走ることができるのだと思います。

 

このスポーツを観ていて、仕事の取り組み方と同じだなと思いました。仕事にも同様に二つのモードがあると思います。まず一つ目は、「ドライバー」的に周りのことが気にならないくらい仕事に没頭・集中するモードです。もう一つが「ナビゲーター」的に自身の仕事を客観的に見て、冷静に判断して考えるモードです。

 

この二つの役割は頭の使い方や視点が全く異なります。ドライバーは「仕事の主体」にならないといけないですし、ナビゲーターは「仕事をしている自分を外から客観視する」必要があります。この視点の違いを考慮すると、ドライバーとナビゲーターの二つの役割を同時に行うのは難しい、ということになります。つまり、一人で二役するためには、二つのモードを意識的に「分ける」ことが必要になると思います。

 

ただ、仕事ではこの二つのモードでも、一つ目の、仕事に没頭・集中する「ドライバー」モードに多くの時間が割かれる傾向があります。仕事を前にして、「とりあえずやってみよう」と仕事にとりかかり、それが終わったら次、終わったら次と進めているような時です。これは通常の仕事の取組み方だと思います。しかし、私は、後者のナビゲーター的な「自身の仕事を客観的に見る」時ことが、仕事の質とスピード向上においてとても重要だと思っています。

 

意識的にナビゲーター的な時間をとるためには、「立ち止まって考える」時間を意識的にとることが必要です。つまり何かに没頭する「前」と「後」にあらかじめ「立ち止まって考える時間」を設定しておくということです。

 

トヨタでは、新人に対して、部品を取りに行くときにとりに行く前に一度立ち止まって、「他にも必要なものがないか」を一度考えろ、と教えるようです。これもナビゲーター的に立ち止まって考えるということですし、「改善」というのも、普段の業務を立ち止まって考えるということだと思います。

 

具体的に私が行っていることとしては、「週の最初は立ち止まって、週のTodoを洗い出す」、「1日のスタートにTodoを見直し、その日にやることを明確にする」ということです。仕事を山登りと考えると、自分なりの地図を作るイメージかと思います。最初に立ち止まって考えれば、結果的に自分のペースで山登りが可能になります。地図がない状態で山登りすると遭難の可能性が高くなるのは皆さんも想像できるかと思います。

 

この立ち止まって事前に考える、というのは会社の中で基本スキルとして仕込まれると思います。ただ、仕事の事後に「振り返る」というのはどちらかというと手薄になりがちです。

 

私は名城大学との「Light up my way」というコラボレーションプログラムで3か月に一度の1時間の「ピットイン」という時間をとっています。これは参加者がzoomで集い、シンプルに「過去3か月を振り返る」というだけの時間です。ただ、この効果がなかなかに大きいのです。

 

具体的な効果としては、①変化に気付ける、②ターニングポイントに気付ける、③後回しに気付けるの、「三つ気づき」があるように感じています。

 

  • 変化に気付ける

毎日少しずつ変化していることは振り返らないとなかなか気づけないものです。3か月で振り返ると、「あ、そういえばこういうことが変化した」と気付くことがとても多いのです。そして、その変化に気付けると、自身の頑張りを認知できて、自己肯定感が高まる効果もあると思います。

 

  • ターニングポイントに気付ける

日々忙しく過ごしていると、大きなターニングポイントに意外と気付かないものです。3か月に一度振り返ると、「あの行動で仕事が大きく変わったな」などと大事なことに気付きやすいように感じています。

 

  • 重要だけど後回しにしていることに気付ける

上記の二つは「自分が取り組んだこと」への気づきだと思いますが、一方で、「自分が取り組んでいないこと」にも気付けるのが振り返りの良さだと思います。普段目の前の仕事に一生懸命取り組んでいると、「存在する仕事」にフォーカスしてしまって、「重要だけど緊急性が低い仕事」は忘れがちです。ただ、振り返りを行うとこれに気付きやすくなります。

 

このナビゲーター的に仕事を振り返ることは、将棋の感想戦のように多くの気づきにあふれています。部署でオフサイトミーティングを行うのも本来的には上記の効果を狙っているのでしょう。また、世の中で1on1ミーティングの重要性が叫ばれているのも同様の理由からだと思います。

 

そして、あらためて考えると、ルバートは研修を通じて、この普段の業務から離れて、新たなビジネススキルを学び、自身の業務のやり方を考えるということに取り組んでいるのだと思います。また、ルバートの提供するオンラインコーチングサービス「me:Rise」も同じように自身の目標と振り返りを促すことを提供しているのだと思います。この「立ち止まる」時間を提供するというのがルバートのサービスの根幹にあると思います。

 

立ち止まって、自身を振り返り、そして未来をナビゲートしていくことは、簡単なことではないと思います。おすすめは、1か月に一度でも同僚や仲間と立ち止まって振り返る時間を決めておくこと、一人は難しいとでも同僚や仲間となら取り組みやすいのではないのでしょうか。立ち止まることで、自分自身で仕事をナビゲートし、ドライブしていく、そんな主体的な働き方が実現すればより生き生きと仕事を楽しめるかもしれません。