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多様な働き方を実現するために必要なこと

ルバート代表の松上です。コロナの第三波の不安が高まる一方で、ワクチンの順調な開発が伝えられ、一喜一憂するような日々が続いているのではないでしょうか?

新型コロナウイルスの流行により、にわかにリモートワークが導入されたり、リモートワークと出勤が混ぜられるようになったり、多様な働き方に注目が集まっています。ただ、振り返ってみると、「働き方改革」や「副業の解禁」、「女性の活躍」など、過去10年ほど多様な働き方に向かう大きな流れがすでにあったわけで、今回の新型コロナウイルスの出現はあくまでもそのスピードを速めるものでしかなかったと考えることもできると思います。

一方で、多くの企業がこの多様な働き方を推進するためにはどのようにアプローチすれば良いかということには苦慮していると感じています。ここでは「多様な働き方」を「時間」、「場所」、「契約形態」を「柔軟に選べる働き方」と定義して、そのアプローチ方法を見ていきたいと思います。

ルバートでは正社員、フリーランス、副業、ボランティア、インターンなど様々な働き方で多くの人に関わってもらっています。そして完全リモートワークのみで働いている人も存在しています。いまだに試行錯誤段階ですので、「これが正しい」というものではありませんが、その中で、評価体系、セキュリティ、コミュニケーションなど一般的に注目されることとは異なる、多様な働き方を実現するために必要ことが少しずつ見えてきました。実践の中で感じていることを羅列していますので、網羅的ではありませんが参考になれば幸いです。

 

①管理系:バックオフィスの強化が必要

多様な働き方を導入すると、賃金体系、契約の種類、そしてそれらの処理業務が圧倒的に複雑化し増大します。特にフリーランスや副業の方には業務ベースで依頼するため、何の業務に関していくらの報酬を設定するかを明確にしないといけません。また、それぞれの業務に関しての契約というのが発生します。ある人はAという業務のみ、ある人はA+Bという業務ということで契約も多様化します。また、契約は時間ベースが良いのか、成果物ベースが良いのか、それによってアルバイト契約が良いのか、業務委託契約が良いのかというのも変わります。成果物ベースにした場合には明確な成果物の定義や検収条件も必要です。

このように、今まで「月額いくら」と一定金額を示していればなんでもやってもらえた正社員とは異なり、働き方に合わせた賃金体系、契約が必要になるとバックオフィスの業務量は一気に増大します。ルバートではバックオフィスのスタッフが苦労しながら試行錯誤しながら少しずつテンプレートや仕組みを整理してくれて、かなり効率化が進んでいますが、多様な働き方を実現する上でバックオフィスの強化は必須と考えてよいと思います。これは一般的にはなかなかフォーカスされないポイントです。

 

②マネジメント:余裕を持ったスケジューリング

こちらも自戒を込めてのポイントですが、多様な働き方の実現にはスケジュールに余裕を持つことが必要になります。働き方の「時間」、「場所」に自由度を持たせると業務が思い通りにいかないことが多くなります。その際にスケジュールを巻いていけばよいのですが、業務時間が決まり、ある程度拘束されている正社員とは異なり、フリーランスや副業などの場合ですとスケジュールを巻くのが、本業やほかの業務の都合上で難しくなります。

そうすると自動的に、「とにかく先を見据えた余裕を持ったスケジュール設定」が必要ということになります。この辺はマネージャーの力量が必要な部分ですが、多様な働き方を認め、無理がないようにするためには「どういうことが起きるか」と想像し、業務をスケジュールする力は必須だと感じます。

またそれに関連して、大人数が参加する場合のミーティングスケジュールはとにかく早めに数か月先まで決めてしまうというのがポイントと思います。一旦確保してもらって、必要がなければリリースしましょう、というアプローチが必要かと思います。

 

③組織:組織開発アプローチの必要

働く時間や場所を多様化するとどうしてもメンバーで共有する時間や場所というのが少なくなります。従来なら年間200日以上も社員は共に過ごし、共に働くため、「組織文化」や「コミュニケーションスタイル」が自動的に醸成されてきたのだと思います。しかし、多様な働き方では「共有の時間と場所」は圧倒的に減少します。

よって組織文化や共通のコミュニケーションスタイルを創造するためには、ミーティングの短時間でお互いを理解したり、共通の価値観を見つけることが必要になってきます。ルバートでは「組織開発チーム」を結成して、メンバーがお互いの理解を深め、組織文化を醸成するための時間を定例ミーティングの中で必ず持つなど工夫を重ねています。例えば、定例ミーティングの中でお互いの「偏愛マップ」を共有するという試みをしたことがありましたが、お互いの人となりが短時間でも理解できて、大変良かったと感じています。

 

④コミュニケーション:ツールとルール

上記の組織開発の必要性とも関連するのですが、日々のコミュニケーションを円滑にするためのツール選び、そしてそのツールを使用する際のルールを明確化する必要があります。弊社ではコミュニケーションはslack、ファイル管理はdropboxとgoogleドライブの併用、ミーティングはzoomと使い分けていますが、それぞれの使用ルールを明確にして円滑なコミュニケーションを心掛けています。例えば、slackは既読がつかないので、アイコンで既読を示す、ファイルの名前の付け方は統一する、などです。また、文章での依頼の場合はできるだけ背景も含めて丁寧に書くというのも、「あ・うん」で伝わる通常の正社員同士のやりとりとは異なる部分かと思います。

 

以上、四つのポイントを書いてきましたが、いかがでしょうか。ここまで見るとわかるのは多様な働き方を実現するためには、高いマネジメント力の養成が必要ということです。試行錯誤しながらルバートでもチャレンジを続けていますが、逆にいうとこのチャレンジに早めに取り組み、失敗を重ねた組織がこれからの時代に生き残れるのではないかと感じています。

大変なことも多い取り組みですが、ルバートでは多様な働き方を実現することで、多様な人材に力を発揮いただいています。子育て中の主婦、副業で隠された実力を発揮するメンバー、多様な強みを持つフリーランサー…これらの人材のシナジーがルバートにとっては競争優位性になってきていると感じます。多様な働き方を実践すればするほど世の中にはまだまだ発揮されていない力が眠っているのだなと感じています。このような取り組みがこれからの日本社会の飛躍のカギとなるかもしれません。皆様の参考になれば幸いです。