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ニュースレターをレターにする

ルバート代表の松上です。弊社、ルバートでは月に一度ニュースレターをお送りしてきました。ルバートの活動をより多くの方に知っていただければと思い、主にnoteやサービスなどの情報を中心にしてきました。一方で、このニュースレターがともすると「情報提供」中心になっているのではないかという問題意識を最近持ってきました。

ニュースレターとはその名の通り、「レター」、つまり「手紙」です。皆さんは、仕事で手紙をもらったことがあるでしょうか。実は私は一度だけ手紙をいただいたことがあります。それは10年ほど前に私がNGOに在籍していた時のことです。

そのNGOは年に一度300人規模の会議を開催しており、その年はその会議のために、ある映像制作会社さんにNGOの活動紹介の映像作成を発注したのでした。しかし、かなりタイトなスケジュール(10日間の納期!)、かつ、複数のテーマ、かつ、素人が撮影した素材、かつ、映像の発注が初めての経験でしたので、コミュニケーションがうまくいかず、映像制作会社さんの編集作業は困難を極めました。しかもその編集は制作会社の若手の武藤さんという方、一名が担っていました。

結局、武藤さんは何度も徹夜をして、編集作業を進めてくれました。私は無理な発注をしてしまったと申し訳なく思いながら、なんとか作業が円滑に進むようにと微力ながら彼の作業をサポートしました。

そして出来上がった映像は感動的な素晴らしいもので、その後も何度もその映像は活用させていただくことになりました。私からも感謝の気持ちをメールで伝えました。通常だとここで終わりの話ですが、その後があります。

その映像を記録媒体で私宛に郵送いただいた際に、意外なことに武藤さんから長文の手紙が同封されていたのです。3枚以上にわたる直筆の手紙だったと思います。そこには「苦しかった時に松上さんがサポートしてくれたから、なんとかやりきることができました…」という感謝の気持ちが綴られていました。私は仕事としてやっていただけだったので、手紙を受け取り、大変驚いたものでした。そして当然とても嬉しくも思いました。

後日、武藤さんとお食事をご一緒した時に手紙の件についてお礼を伝えたところ、驚いたことに、その会社では週に一度必ず手紙を書くための時間があるということでした。社内でも社外でも良いので、伝えたい気持ちを手紙にしたためる時間をどれだけ忙しくても皆で一斉にとっているということでした。仕事より何より「伝えたい想い」を手紙で伝えることを中心に置きたいという社長の方針とのことでした。

この話を聞いた時に思い出したのが、最初に勤めていたコンサルティング会社での出来事でした。そのコンサルティング会社は、マッキンゼーで大前研一さんとも一緒に働いていたベテランの戦略コンサルタントにアドバイザーとしてサポートをお願いしていました。

そのアドバイザーの方が社内のコンサルタント向けに研修を実施することになりました。私は研修のテーマとして、「コンサルティングとは?」とか「マーケティングとは?」こんな内容を当然想像しました。

しかし、予想に反してテーマは「お礼状の書き方」だったのです。手紙を書いて、想いを伝える。第一線で活躍してきた、誰よりも経営について深い理解と知識と経験を持つ戦略コンサルタントが最初に伝えたいのが「手紙の大事さ」。これには衝撃を受けたものでした。

手紙を書くというのは相手のことを考える時間であり、また自分の気持ちと向き合う時間です。そしてそれを文字に込めていく。これは直接話すことや、メールとは全く違った意味を持つのではないかと思います。もしかすると、その重要さは一線で活躍してきた人だからこそ逆に気付けるものなのかもしれません。

映像制作会社の武藤さんから頂いた「手紙」のおかげで、私は「手紙」で気持ちを伝える良さを実感し、その後、手紙をもっと身近にしたいという想いから、スマホから手紙を送れるという、androidアプリの「ピクレタ」というサービスまで立ち上げることになりました。http://www.rubato.co/picleta/

残念ながらアプリ自体は鳴かず飛ばずでサービスは4年ほどでクローズしてしまいましたが、今でもそのコンセプト自体は良かったと思っています。

そして、話を戻して、本題のニュースレターです。弊社のニュースレターもそうですが、ついつい仕事をしていると、「情報」を伝えがちになります。しかし、それより大事なのは「想い」を伝えることではないか、それが人と人との関係を紡いで、時に仕事をつなぎ、時に仕事を超えた関係を作るのではないかと。ニュースレター自体はもちろん情報提供の部分もありますが、ルバートの想いを伝える媒体でもあります。つい最近この一件を思い出し、反省を込めて、今後は「ニュースレター」を、より皆さまに向けての「レター」寄りにしていきたいと考えています。具体的には、毎回冒頭にこのような私の感じていることや伝えたいことを書いていきたいと思います。

さて、武藤さんとの一件、やはりそのままでは終わらず、約1年後、NGOの仕事でアフリカのザンビアまで一緒に行くことになりました(笑)。手紙を頂いたからではないですが、手紙が何か作用したことは間違いないと思います。

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