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津田塾大学学外学修センター特別講義「チームビルディングワークショップ」のファシリテーションを担当しました

津田塾大学では在学中に学生達が社会での経験を積めるように、企業への学外学修制度を導入しています。企業への学外学修ではチームを組んで課題に取り組みますが、ほぼ初対面のメンバーが短期間で打ち解けて協力する関係を築くのは至難の業です。そこで、津田塾大学学外学修センターでは企業への学外学修に参加する学生に対する事前研修として、「チームビルディングワークショップ」を本年から企画しています。

弊社Rubatoはそのワークショップの内容の企画とファシリテーションを担当させていただきましたので、6月21日に実施したワークショップ当日の様子をレポートします。


緊張気味の学生が75名が続々と集合

12時30分、総勢75名ほどの学生達が千駄ヶ谷キャンパスに次々と集まってきます。

学外学修先はJAL、IBM、朝日新聞など、名だたる企業です。学外学修先の企業ごとに席に着いていきます。学生達はほぼ初対面同士、緊張した面持ちです。それでも勇気を出して自己紹介を始めるグループがあり、早速ワークショップに向けて場が温まってきました。

セッション1 チーム力の前提となる関係性をつくる

今回のワークショップのファシリテーターをつとめる小泉と志賀の自己紹介からワークショップは始まります。女性としてのキャリアを積んできた二人のプロフィールに多くの学生は興味津々です。

ファシリテーターから本日のワークショップの目的が「関係性を築く」、「チーム力を高める」であることが伝えられます。今回のワークショップはチームだけではなく、同じ企業に向かう学生同士のつながりを深めることも目的としています。

今回のワークショップでは、学年や年齢がチーム内では関係ないことが志賀から伝えられました。また、「伝えたいことはIメッセージで伝えよう。つまり、『あなたは遅刻ばかりして困る』ではなく、『私はあなたが遅刻して悲しく感じている』という自分の感じ方で伝えよう」という志賀のメッセージに学生達もうなずいていました。


まずはアイスブレイクとして「共通点探しゲーム」からスタート。参加者75名が一斉にペアを作り、共通点を見つけたら、次の参加者に声をかけていきます。「ペットは何?」「星座は?」おとなしかった雰囲気から一瞬で会場が熱気に包まれます。5分間で10人以上と共通点を見つけたという学生もいました。


次に、「チームとして関係性を深めるにはまず個人同士の理解から」ということでペアを作っての相互インタビューに取り組みます。カフェテリアや外を使っても良いということで、ペアが一斉に散らばります。「学外学修センターのプログラムに参加しようと思ったきっかけは?」「今の自分を形作った経験は?」「5年後、10年後に創りたい未来は?」、シンプルな問いですが、自分のことを一生懸命伝える話し手に、聞き手もグイグイ引き込まれていきます。最初は初対面同士でも、お互いのことを知ると自然に緊張感が和らいで笑顔でインタビューに答えていました。

そして他己紹介の時間。相互インタビューで聴き合った内容を共有していきます。自分のことを話してもらうのに少し恥ずかしい表情を見せる学生もいましたが、他己紹介が終わると自然と拍手が起こり、チーム内でお互いの理解が深まっているようです。

学生からはこの相互インタビューと他己紹介について以下のような感想が出ていました。

「自分にとって良い経験になることを第一の目的に考えていたけど、学外学修先の企業が社会に貢献するような提案をしたいという話を聞いて、自分もそういう風に考えたいと思った」
「1年生だから3年生とチームとかビビっていただけど、話を聞いてみると目的はそれぞれ違っていて、自分がいてもいいんだと安心した」
「普段学生同士でお互いのことを話す機会がないので新鮮に感じた」
「他の人の学外学修参加の動機が様々だったので、視野が広がり、自分のモチベーションも高まった」、「就活のグループディスカッションの参考になった」
「思ったより時間が長くて、内容ある話ができるか不安だったけど、やってみたらあっという間でした」

セッション2 チームプロジェクトの体験

セッション2ではプロジェクトワークに取り組みました。

小泉からチームワークと個人ワークの違いについて、「個人ワーク以上に大きな力を発揮できるのがチームワーク。でも、チームワークがうまくいかないとチームのメンバーの力も発揮できない」ということが伝えられます。そして、小泉からチームワークで1+1が3以上の力になるようにはどうすればよいかという問いが投げかけれました。


参加者はディスカッションでチームがワークするポイントについてそれぞれの想いをぶつけます。「思ったことをしっかりと伝える」「誰かの責任感が強くて、その人に周りが頼ってしまう状態は一人以下の力になる」「自分のやることをやるという姿勢が必要」「ほうれんそうが大事」「いろんな意見をいいとこどりで尊重すること」「目標に向かってミッションを持つ」「適材適所に配置されている」などのコメントがありました。


そしていよいよ本ワークショップの目玉のグループワークです。

課題は「津田塾大学の志願者数を増やすには?」。グループワークが始まると一気に会場が活気に包まれます。紙にびっしりと書き込まれたそれぞれのアイデアを共有し、チームでディスカッションします。あっという間に45分は終了しました。


発表では、「実践的な学びをアピールする」「津田梅子のお札掲載を記念してお札フェスを開催する」「データサイエンスが学べるというプロモーション」「梅子わくわく使節団」「理系女子の志願者数を増やす」「留学生を増やす」などのユニークなアイデアが共有されていました。

セッション3 自己・他者・チームワークについてのリフレクション

セッション3はチームワークの振り返りです。

自分たちのチームワークを10点満点で評価し、その上でどのような点が改善されればチームワークが発揮できそうかを議論しました。

「最初に目標を設定しておけばよかった」「計画とタイムマネジメントがうまくいかなかった」などの反省点を共有しました。

そのうえで、「この人のこういうところが良かった」という内容をお互いにフィードバックしました。「タイムマネジメントをしてくれたのが良かった」「ユニークな意見を言ってくれたのが良かった」「1年生なのに課題意識を持って取り組んでいるのがすごくよかった」「共感しながら聞いてもらえるのがすごくよかった」などの意見がチームの中で交換されました。

チームワークの振り返りを踏まえて、チーム目標とチームの名前を設定しました。

ここでは短時間で考えたとは思えないほど、ユニークなチーム名が次々と発表されました。

『たけのこチーム』-「個性があって力強く伸びるけど、根ではしっかりとつながっているチームにしたいから

『モンテスキューチーム』-「国の暴走を防ぐために三権分立を説いたのがモンテスキューで、チームとして暴走のないようにしたいから」

『鳥瞰図チーム』-「計画を俯瞰的に見て進めるチームにしたいから」

『松岡修造チーム』-「決める時には情熱を持ってきっちり決められるチームにしたいから」

など。

セッションの最後に個人目標の設定と一日の振り返りを行いました。1人の参加者のコメントが一日の学びを表していたと思います。


「ずっと自分の弱みを改善しなきゃいけないと思っていたけど、ワークショップを通して、お互いの強みを活かしあってチームで弱みを補い合えば良いんだということに気付きました。」

ワークショップを振り返って

弱みを改善していくのは大変な労力。でもチームならば自分の強みを積極的に発揮すればよい。そのためにはお互いのことを知り、理解し、認め合うことが最も大事なこと。こんなチームワークのシンプルな本質が小泉と志賀から学生の皆さんに伝わったことを願います。

このワークショップで学んだチームワークの考え方が学外学修で少しでも役に立てばと思います。

津田塾大学の先生、職員の皆さま、どうもありがとうございました。そして何より学生の皆さま、お疲れ様でした。